抱朴子外篇 / 嘉遁
「且夫安貧者以無財為富,甘卑者以不仕為榮。故幼安浮海而澄神,胡子甘心於退耕。逢比有令德之罪,信布陷功大之刑。一枝足以戢鸞羽,何煩乎豐林?潢洿足以泛龍鱗,豈事乎滄海?藜藿嘉於八珍,寒泉旨於醽醁;躡履美於赤舄,缊袍麗於袞服;把橦安於杖鉞,鳴條樂乎絲竹;茅茨艷於丹楹,辨椽珍於刻桷;登高峰為臺榭,疵巖霤為華屋;積篇章為敖庾,寶玄談為金玉;棄細人之近戀,捐庸隸之所欲;遊九臯以含歡,遣智慧以絕俗。同屈尺蠖,藏光守樸;表拙示訥,知止常足。然後咀嚼芝芳,風飛雲浮;晞景九陽,附翼高遊;仰棲梧桐,俯集玄洲。孰與銜轡而伏櫪,同被繡於犧牛哉!」
新字:「且夫安貧者以無財為富,甘卑者以不仕為栄。故幼安浮海而澄神,胡子甘心於退耕。逢比有令徳之罪,信布陥功大之刑。一枝足以戢鸞羽,何煩乎豊林?潢洿足以泛竜鱗,豈事乎滄海?藜藿嘉於八珍,寒泉旨於醽醁;躡履美於赤舄,缊袍麗於袞服;把橦安於杖鉞,鳴条楽乎糸竹;茅茨艶於丹楹,弁椽珍於刻桷;登高峰為台榭,疵巖霤為華屋;積篇章為敖庾,宝玄談為金玉;棄細人之近恋,捐庸隸之所欲;遊九皋以含歓,遣智慧以絶俗。同屈尺蠖,蔵光守樸;表拙示訥,知止常足。然後咀嚼芝芳,風飛雲浮;晞景九陽,附翼高遊;仰棲梧桐,俯集玄洲。孰与銜轡而伏櫪,同被繍於犠牛哉!」
書き下し
「且つ夫れ貧に安んずる者は財無きを以て富と為し、卑に甘んずる者は仕えざるを以て栄と為す。故に幼安は海に浮かびて神を澄ませ、胡子は心を退耕に甘んず。逢・比は令徳の罪有り、信・布は功大なるの刑に陥る。一枝は以て鸞羽を戢むるに足る、何ぞ豊林を煩わさん。潢洿は以て龍鱗を泛ぶるに足る、豈に滄海を事とせんや。藜藿は八珍より嘉く、寒泉は醽醁より旨し。躡履は赤舄より美しく、縕袍は袞服より麗し。把橦は杖鉞より安らかに、鳴条は絲竹より楽し。茅茨は丹楹より艶しく、辨椽は刻桷より珍し。高峰に登りて台榭と為し、巌霤を疵して華屋と為す。篇章を積みて敖庾と為し、玄談を宝として金玉と為す。細人の近戀を棄て、庸隷の欲する所を捐つ。九臯に遊びて以て歓びを含み、智慧を遣りて以て俗を絶つ。尺蠖に同じく屈し、光を蔵めて樸を守る。拙を表し訥を示し、止まるを知りて常に足る。然る後に芝芳を咀嚼し、風のごとく飛び雲のごとく浮かぶ。景を九陽に晞し、翼に附して高く遊び、仰ぎては梧桐に棲み、俯しては玄洲に集う。孰か轡を銜みて櫪に伏し、繡を被る犠牛に同じからんや」と。
現代語訳
「そもそも貧しさに安んじる者は財がないことを富とし、低い身分に甘んじる者は仕えないことを栄えとする。だから管寧は海を渡って心を澄まし、胡子は退いて耕すことに満足した。関龍逢と比干は立派な徳を持ちながら罪を得、韓信と英布は功が大きすぎて刑に陥った。一本の枝があれば鸞の羽を休めるに足りる。どうして広い林を煩わせようか。小さな水たまりがあれば龍の鱗を浮かべるに足りる。どうして大海を求めようか。粗末な豆の葉は山海の珍味よりうまく、冷たい泉の水は名酒よりおいしい。草履は赤い礼靴より心地よく、綿入れの粗衣は礼服より美しい。鍬の柄を握るのは斧鉞を杖つくより安らかで、風に鳴る枝は琴や笛より楽しい。茅の屋根は朱の柱より艶があり、粗い垂木は彫刻の桷より貴い。高い峰に登れば高殿となり、岩の庇をよく見れば立派な家となる。書物を積んで穀倉とし、玄妙な談論を宝として金玉とする。小人の目先の執着を棄て、下僕の欲することを捨てる。九つの沢に遊んで歓びを含み、智慧を使わずに俗を絶つ。尺取り虫のように身をかがめ、光を隠して素朴を守る。拙さを示し、口の重さを見せ、止まるを知っていつも満ち足りる。そうしてのち、霊芝の香りを味わい、風のように飛び雲のように浮かぶ。九つの太陽に照らされて影を乾かし、翼をつけて高く遊び、仰いでは梧桐に棲み、俯しては玄洲に集う。誰が轡をくわえて馬屋に伏し、刺繡を着せられた犠牲の牛と同じになろうか」。
解説
この章句が説くこと
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『韓非子』詭使第四十五官爵は、民を勧むる所以なり。而るに名義を好みて仕に進まざる者、世之を「烈士」と謂ふ。刑罰は、威を擅にする所以なり。而るに法を軽んじて刑戮死亡の罪を避けざる者、世之を「勇夫」と謂ふ。民の名に急なるや、其の利を求むるより甚だし。此くの如くんば、則ち士の饑餓乏絶する者、焉んぞ巌居苦身して以て名を天下に争ふこと無きを得んや。故に世の治まらざる所以の者は、下の罪に非ず、上其の道を失へばなり。常に其の乱るる所以を貴びて、其の治まる所以を賤しむ、是の故に下の欲する所は、常に上の治を為す所以と相詭ふなり。今下にして其の上に聴くは、上の急とする所なり。而るに惇慤純信にして、心を用ひ言を怯るれば、則ち之を「窶」と謂ふ。法を守ること固く、令を聴くこと審らかなれば、則ち之を「愚」と謂ふ。上を敬ひ罪を畏るれば、則ち之を「怯」と謂ふ。言時節あり、行中適すれば、則ち之を「不肖」と謂ふ。二心私学無く、吏に聴き教へに従ふ者は、則ち之を「陋」と謂ふ。致し難き之を「正」と謂ひ、予へ難き之を「廉」と謂ひ、禁じ難き之を「斉」と謂ひ、令有れども聴従せざる之を「勇」と謂ひ、上に利無き之を「愿」と謂ひ、少欲・寛恵・行徳之を「仁」と謂ひ、重厚自尊之を「長者」と謂ひ、私学群を成す之を「師徒」と謂ひ、閑静安居之を「有思」と謂ひ、仁を損ひ利を逐ふ之を「疾」と謂ひ、険躁佻反覆する之を「智」と謂ひ、先づ人の為にして後に自ら為し、名号を類し、言ひて天下を汎愛する之を「聖」と謂ひ、大本を言ひ、称して用ふべからず、行ひて世に乖く者之を「大人」と謂ひ、爵禄を賤しみ、上に撓まざる者之を「傑」と謂ふ。下漸く行ふこと此くの如くんば、入りては則ち民を乱し、出でては則ち便ならざるなり。上宜しく其の欲を禁じ、其の迹を滅すべし、而るに止めず、又従ひて之を尊ぶ、是れ下に上を乱すを教へて以て治を為すなり。凡そ上の治むる所以の者は、刑罰なり。今私に義を行ふ者有りて尊ばる。社稷の立つ所以の者は、安静なり。而るに躁険讒諛なる者任ぜらる。
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『墨子』辭過古の民、未だ衣服を為るを知らざる時、皮を衣、茭を帶び、冬は則ち輕からずして温かならず、夏は則ち輕からずして凊しからず。聖王、以て人の情に中らずと為す。故に婦人に誨えて絲麻を治め役し、布絹を捆ちて、以て民の衣を為らしむ。衣服を為るの法は、冬夏には則ち練帛の飾り、以て温かにして且つ清きを為すに足り、謹んで此に止まる。故に聖人の衣服を為るは、身體に適い肌膚に和して足れりとし、耳目を榮えしめて愚民に觀せしむるに非ざるなり。是の時に當たりて、堅車良馬も貴ぶを知らざるなり、刻鏤文采も喜ぶを知らざるなり。何となれば則ち、其の道く所、然らしむればなり。故に民の衣食の財、家、以て旱水凶饑を待つに足る者は、何ぞや。其の自ら養う所以の情を得て、外に感ぜざればなり。是を以て其の民は儉にして治め易く、其の君は財を用うること節にして贍らし易きなり。府庫は實ち滿ち、以て不然を待つに足る。兵革は頓れず、士民は勞れず、以て不服を征するに足る。故に霸王の業、天下に行う可し。
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