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抱朴子外篇 / 嘉遁

「蓋聞大者天地,其次君臣。先聖憂時,思行其道,三月無君,皇皇如也。恥今聖主不與堯舜一致,湣此黎民不可比屋而封,故或負鼎而龍躍,或扣角以鳳歌,不須蒲輪而後動,不待文王而後興。潛初飛五,與時消息,進有攸往之利,退無濡尾之累,明哲以保身,宣化以濟俗。使夫承蘭風以傾柯,濯清波以遣穢者,若沈景之應朗鑒,方圓之赴規矩。故勛格上下,惠沾八表。夫有唐所以巍巍,重華所以恭己,西伯所以三分,姬發所以革命,桓文所以一匡,漢高所以應天,未有不致群賢為六翮,托豪傑為舟輯者也。若令各守洗耳之高,人執耦耕之分,則稽古之化不建,英明之盛不彰,明良之歌不作,括天之網不張矣。

新字:「蓋聞大者天地,其次君臣。先聖憂時,思行其道,三月無君,皇皇如也。恥今聖主不与堯舜一致,湣此黎民不可比屋而封,故或負鼎而竜躍,或扣角以鳳歌,不須蒲輪而後動,不待文王而後興。潜初飛五,与時消息,進有攸往之利,退無濡尾之累,明哲以保身,宣化以済俗。使夫承蘭風以傾柯,濯清波以遣穢者,若沈景之応朗鑒,方円之赴規矩。故勛格上下,恵沾八表。夫有唐所以巍巍,重華所以恭己,西伯所以三分,姫発所以革命,桓文所以一匡,漢高所以応天,未有不致群賢為六翮,托豪傑為舟輯者也。若令各守洗耳之高,人執耦耕之分,則稽古之化不建,英明之盛不彰,明良之歌不作,括天之網不張矣。

書き下し

「蓋し聞く、大なる者は天地、其の次は君臣なりと。先聖は時を憂え、其の道を行わんことを思い、三月君無ければ皇皇如たり。今の聖主の堯舜と致を一にせざるを恥じ、此の黎民の比屋に封ず可からざるを湣み、故に或いは鼎を負いて龍のごとく躍り、或いは角を扣きて鳳のごとく歌い、蒲輪を須ちて而る後に動かず、文王を待ちて而る後に興らず。潜初飛五、時と消息し、進めば往く攸の利有り、退けば尾を濡らすの累無し。明哲以て身を保ち、宣化以て俗を済う。夫の蘭風を承けて柯を傾け、清波に濯いで穢を遣る者をして、沈景の朗鑑に応じ、方円の規矩に赴くが若くならしむ。故に勲は上下に格り、恵は八表に沾う。夫の有唐の巍巍たる所以、重華の己を恭しくする所以、西伯の三分する所以、姫発の革命する所以、桓文の一匡する所以、漢高の天に応ずる所以は、未だ群賢を致して六翮と為し、豪傑を托して舟楫と為さざる者有らざるなり。若し各々洗耳の高きを守り、人々耦耕の分を執らしめば、則ち稽古の化は建たず、英明の盛は彰れず、明良の歌は作らず、括天の網は張らざらん。

現代語訳

「聞くところでは、大きなものは天地であり、その次は君臣であるという。昔の聖人は時勢を憂い、その道を行うことを思い、三か月主君がいなければ落ち着かずうろたえた。今の聖なる君主が堯舜と同じ境地に至っていないことを恥じ、人民が家ごとに封じられるほど立派にはなれないことを憐れんだ。だから、ある者は鼎を背負って龍のように躍り出て、ある者は牛の角を叩いて鳳のように歌い、蒲で包んだ車の迎えを待って動くのでも、文王が来るのを待って興るのでもなかった。潜む龍から飛龍の位まで、時とともに伸び縮みし、進めば行く先に利があり、退けば尾を濡らす災いがない。賢明な者はこうして身を保ち、教化を広めて世を救う。蘭の風を受けて枝を傾け、清い波で汚れを洗い流す者は、影が明るい鏡に応じ、四角と円が定規とコンパスに従うように世に応じる。だから功績は天地の上下に至り、恵みは八方の果てまで潤す。かの唐堯が高大であり、舜が己を恭しくして治め、西伯が天下を三分し、武王が命を革め、斉桓・晋文が天下を一つに正し、漢の高祖が天命に応じたのは、いずれも多くの賢者を招いて六枚の翼とし、豪傑を頼って舟とかじとしなかった例がない。もし誰もが許由のように耳を洗う高潔さを守り、誰もが二人並んで耕す分に安んじるなら、古に学ぶ教化は立たず、英明な君と賢い臣の盛んな世は現れず、君臣の和を歌う歌も作られず、天をおおう網は張られないであろう」。

解説

公子の説得の中心は、君臣の結びつきを「大なる者は天地、其の次は君臣」と置くところにあります。聖王の業績はどれも賢者を「六翮」(鳥の飛ぶ力を支える六枚の羽)にして成ったのであり、全員が洗耳の高潔を貫けば治世の網は張れない、という筋です。隠者の清さを認めたうえで、その外にある共同の仕事に目を向けさせる論法です。いまの組織に引きつけると、有能な個人が各自の専門に閉じこもれば、組織としての成果は積み上がらないという話になります。人を集めて生かすことが、成果の土台です。ただし登用する側に都合のよい論でもあり、本人の事情を聞くのが先です。

この章句が説くこと

群賢を致して六翮と為し豪傑を托して舟楫と為さざる者三月君無ければ皇皇如たり進めば往く攸の利有り君臣登用

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