韓非子 / 觀行第二十四
故雖有堯之智而無衆人之助,大功不立;有烏獲之勁而不得人助,不能自舉;
書き下し
故に堯の智有ると雖も、而も衆人の助け無ければ、大功立たず。烏獲の勁有るも、而も人の助けを得ざれば、自ら舉ぐる能わず。
現代語訳
したがって、堯ほどの智恵があっても、多くの人々の助けがなければ、大きな功績は立てられない。烏獲ほどの怪力があっても、他人の助けがなければ、自分自身を持ち上げることはできない。
解説
どれほど賢い人でも、周りの助けなしには大きな仕事は成し遂げられません。原文は、聖人と言われた堯ほどの智恵があっても大勢の助けがなければ大きな功績は残せず、怪力で知られた烏獲ほどの力持ちでも人の手を借りなければ自分の体を持ち上げることすらできない、と言います。一人で何でも背負い込もうとする人ほど、実は限界にぶつかりやすいものです。家庭を切り盛りするにも、地域の行事を回すにも、家族や近所の人たちの手を借りてこそ大きなことができます。自分の力を誇示するのではなく、周りの人に頼り、力を貸してもらえる間柄を日頃から作っておくことこそ、大きな仕事を成し遂げる本当の力なのです。
この章句が説くこと
チームワーク協働属人化の排除ワンマンの限界相乗効果
関連する章句
-
『韓非子』功名第二十八人主の患は之に應ずること莫きに在り、故に曰く、「一手獨り拍つは、疾しと雖も聲無し。」
-
『韓非子』難二第三十七凡そ五覇の能く功名を天下に成す所以の者は、必ず君臣俱に力有り。故に曰く、『叔向。師曠の對えは皆な偏辭なり。』
-
葉隠・聞書第一諸人(しょにん)一和(いちわ)して、天道(てんどう)に任せて居れば心安(こころやす)きなり。一和せぬは、大義を調(ととの)へても忠義にあらず。朋輩(ほうばい)と仲悪しく、かりそめの出会にも顔出し悪しく、すね言(ごと)のみ云ふは、胸量(きょうりょう)狭き愚痴(ぐち)より出づるなり。自然の時の事を思うて、心に叶はぬ事ありとも、出会ふ度毎(たびごと)に会釈(えしゃく)よく他事(たじ)なく、幾度(いくたび)にても飽かぬ様に、心を附けて取り合ふべし。
-
尚書・益稷元首(げんしゅ)明らかなるかな、股肱(ここう)良きかな、庶事(しょじ)康(やす)きかな。
-
『十七条憲法』第一条一に曰わく、和(わ)を以(も)って貴(たっと)しと為(な)し、忤(さから)うこと無きを宗(むね)と為(せ)よ。人は皆(みな)党(たむら)有り、亦(また)達(さと)れる者少なし。是(ここ)を以て、或(あるい)は君父(くんぷ)に順(したが)わず、乍(あるいは)隣里(りんり)に違(たが)う。然(しか)れども、上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事(こと)を論(あげつら)うに諧(かな)うときは、則(すなわ)ち事理(じり)自(おのずか)ら通(つう)ず。何事(なにごと)か成らざらん。
-
易経・象伝天と火とは同人なり、君子は以て族を類し物を弁ず。