秘本玉くしげ / 上 役人も重く罰す
さればたとひいささかの事にもせよ、此すぢあらば、その起るところの本を委細によくよく吟味して是非をただし、下の非あらば、その張本のともがらをおもく刑し玉ふべきは勿論の事、又上に非あらば、その非を行へる役人を重く罸し玉ふべき也。
新字:さればたとひいささかの事にもせよ、此すぢあらば、その起るところの本を委細によくよく吟味して是非をただし、下の非あらば、その張本のともがらをおもく刑し玉ふべきは勿論の事、又上に非あらば、その非を行へる役人を重く罰し玉ふべき也。
書き下し
さればたとひいささかの事にもせよ、此すぢあらば、その起るところの本を委細によくよく吟味して是非をただし、下の非あらば、その張本のともがらをおもく刑し玉ふべきは勿論の事、又上に非あらば、その非を行へる役人を重く罰し玉ふべき也。
現代語訳
だから、たとえわずかなことであっても、この筋(強訴の類)があれば、その起こったところの本をこと細かによくよく吟味して是非をただし、下に非があれば、その張本の者たちを重く刑に処されるべきことは勿論のこと、また上に非があれば、その非を行った役人を重く罰せられるべきである。
解説
騒動が起きたときの処し方を示す短い段である。どんな小さな騒ぎでも、起こった本をこと細かに吟味して是非を正す。下に非があれば張本人を重く罰するのは当然だが、上に非があれば、それを行った役人を重く罰せよ、と宣長は言う。一揆の処分といえば首謀者を罰して終わりにしがちな中で、宣長は処罰の目を役人の側にも同じ重さで向けさせようとしている。本書は後に、騒動のほとんどは上の非から起こるとまで述べることになる。不祥事が起きたとき、声を上げた現場だけを処分して、原因を作った管理する側の責任を問わずに済ませてはいないだろうか。
この章句が説くこと
吟味張本役人処罰是非
関連する章句
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史記 衛将軍驃騎列伝其の秋、匈奴代に入り、都尉朱英を殺す。其の明年春、大将軍青定襄より出づ。合騎侯敖中将軍と為り、太僕賀左将軍と為り、翕侯趙信前将軍と為り、衛尉蘇建右将軍と為り、郎中令李広後将軍と為り、右内史李沮彊弩将軍と為り、咸大将軍に属し、首を斬ること数千級にして還る。月余にして、悉く復た定襄より出でて匈奴を撃ち、首虜を斬ること万余人。右将軍建・前将軍信軍を并すること三千余騎、独り単于の兵に逢ひ、与に戦ふこと一日余、漢の兵且に尽きんとす。前将軍は故の胡人にして、降りて翕侯と為る。急なるを見て、匈奴之を誘ふ。遂に其の余騎八百可りを将ゐて、奔りて単于に降る。右将軍蘇建尽く其の軍を亡ひ、独り身を以て亡げ去るを得て、自ら大将軍に帰る。大将軍其の罪を正閎・長史安・議郎周霸等に問ふ、「建は当に云何すべき」と。霸曰く、「大将軍の出でしより、未だ嘗て裨将を斬らず。今建軍を棄つ。斬りて以て将軍の威を明らかにすべし」と。閎・安曰く、「然らず。兵法に『小敵の堅は、大敵の禽なり』と。今建は数千を以て単于の数万に当たり、力戦すること一日余、士尽くるも、敢へて二心有らず、自ら帰る。自ら帰りて之を斬るは、是れ後に反る意無からしむるを示すなり。当に斬るべからず」と。大将軍曰く、「青幸ひに肺腑を以て罪を行間に待つを得たり。威無きを患へず。而るに霸我に説くに威を明らかにするを以てするは、甚だ臣の意を失ふ。且つ臣の職をして将を斬るに当たると雖も、臣の尊寵を以てして敢へて自ら擅に誅を境外に専らにせず、而して具に天子に帰し、天子自ら之を裁かば、是に於て以て人臣為りて敢へて権を専らにせざるを見す。亦可ならずや」と。軍吏皆曰く「善し」と。遂に建を囚へて行在所に詣る。塞に入りて兵を罷む。是の歳や、大将軍の姊の子霍去病年十八、幸せられて、天子の侍中と為る。
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