碧巌録 / 第七十六則
垂示云。細如米末。冷似氷霜。畐塞乾坤。離明絕暗。低低處觀之有餘。高高處平之不足。把住放行。總在這裏許還有出身處也無。試舉看 畐。
新字:垂示云。細如米末。冷似氷霜。畐塞乾坤。離明絶暗。低低処観之有余。高高処平之不足。把住放行。総在這裏許還有出身処也無。試舉看 畐。
書き下し
垂示に云く、細きこと米末の如く、冷ややかなること氷霜に似たり。乾坤に畐塞して、明を離れ暗を絶す。低低の処、之を観るに余り有り。高高の処、之を平らぐるに足らず。把住・放行、総に這裏に在り。還た出身の処有りや也た無しや。試みに挙し看よ。
現代語訳
垂示に言う。細かいことは米の粉のようで、冷たいことは氷や霜のようである。天地いっぱいに満ちふさがって、明るさを離れ暗さを絶している。低い所から見れば余りがあり、高い所をならすには足りない。押さえ込むのも放してやるのも、すべてここにある。さて、ここから身を抜け出す所はあるかないか。試みに取り上げてみよ。
解説
圜悟の垂示である。米の粉のように細かく、氷や霜のように冷たく、しかも天地いっぱいに満ちているものが語られる。それは明暗の対立を離れ、低い所から見れば余り、高い所をならすには足りないという、量りようのないものである。押さえ込む把住も、放してやる放行も、すべてこの一点にあると圜悟は言う。そのうえで、ここから抜け出す道はあるかと問いかける。本則では、飯を食わせてもらった僧が、食わせた人に眼があるかを問われて答えに詰まる。満ちていながら捉えられないものへの、身の置き方を問う一節である。
この章句が説くこと
把住放行米末乾坤出身公案自由
関連する章句
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『碧巌録』第十三則垂示に云く、雲大野に凝りて、遍界蔵さず。雪蘆花を覆うて、朕迹を分かち難し。冷き処は冷きこと氷雪の如く、細かなる処は細かなること米末の如し。深深たる処は仏眼も窺ひ難く、密密たる処は魔外も測る莫し。一を挙げて三を明らむることは即ち且く止む。天下の人の舌頭を坐断す、作麼生か道はん。且く道へ、是れ什麼人の分上の事ぞ。試みに挙す看よ。
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『碧巌録』第八十六則垂示に云く、世界を把定して糸毫をも漏らさず、衆流を截断して涓滴をも存せず。口を開けば便ち錯り、擬議すれば即ち差ふ。且く道へ、作麼生か是れ透関底の眼。試みに道へ、看ん。
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『碧巌録』第七十七則垂示に云く、向上に転じ去れば、以て天下の人の鼻孔を穿つべし、鶻の鳩を捉ふるに似たり。向下に転じ去れば、自己の鼻孔、別人の手裏に在り、亀の殻に蔵るるが如し。箇中に忽ち箇有つて出で来たつて道はん、「本来向上向下無し、転ずることを用ゐて什麼か作ん」と。只だ伊に向かつて道はん、「我も也た爾が鬼窟裏に向かつて活計を作すことを知る」と。且く道へ、作麼生か箇の緇素を辨ぜん。良久して云く、条有らば条に攀ぢ、条無くんば例に攀づ。試みに挙し看よ。
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『碧巌録』第七十四則垂示に云く、鏌鎁横たへ按じて、鋒前に葛藤の窠を剪断す。明鏡高く懸けて、句中に毘盧の印を引き出だす。田地穏密の処、衣を著け飯を喫す。神通遊戯の処、如何が湊泊せん。還た委悉すや。下文を看取せよ。
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『碧巌録』第三則垂示に云く、一機一境、一言一句、且く箇の入処有らんことを図る、好肉上に瘡を剜り、窠を成し窟を成す。大用現前して軌則を存せず、且く向上の事有ることを知らんことを図る、蓋天蓋地、又摸索不著。恁麼も也た得、不恁麼も也た得、太だ廉繊生。恁麼も也た得ず、不恁麼も也た得ず、太だ孤危生。二塗に渉らずして、如何なるか即ち是なる。請ふ試みに挙し看ん。
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