碧巌録 / 第六十八則
垂示云。掀天關翻地軸。擒虎兕辨龍蛇。須是箇活鱍鱍漢。始得句句相投機機相應。且從上來什麼人合恁麼。請舉看。
新字:垂示云。掀天関翻地軸。擒虎兕弁竜蛇。須是箇活鱍鱍漢。始得句句相投機機相応。且従上来什麼人合恁麼。請舉看。
書き下し
垂示に云く、天関を掀げ地軸を翻し、虎兕を擒へ龍蛇を辨ずるは、須らく是れ箇の活鱍鱍の漢にして始めて得べし。句句相投じ、機機相応ず。且く従上来、什麼人か合に恁麼なるべき。請ふ挙し看よ。
現代語訳
垂示にいう。天の関門をはね上げ、地の軸をひっくり返し、虎や野牛を捕らえ、龍と蛇とを見分けるには、生き生きとした男でなければならない。そうしてはじめて、一句一句が投合し、一機一機が呼応する。さて、昔から誰がそのようにできたか。どうか取り上げて見てみよう。
解説
圜悟の垂示である。天地をひっくり返し、虎を捕らえ龍蛇を見分けるほどの働きは、生き生きとした人でなければできない。そういう人同士が出会えば、一句一句が投合し、一つ一つの働きが呼応すると圜悟は言う。この垂示は、仰山と三聖が互いの名を取り替えて応酬する次の本則への導入である。打ち合わせでも、言葉が噛み合う相手とはわずかなやり取りで多くが通じる。そのためには自分自身が型にはまらず、相手の出方にすぐ応じられる柔らかさを持っていなければならないのである。
この章句が説くこと
垂示呼応自由機鋒対話
関連する章句
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『碧巌録』第六十六則垂示に云く、機に当たり面を覿て、陥虎の機を提げ、正按傍提して、擒賊の略を布く。明合暗合、双放双収、解く死蛇を弄するは、他の作者に還す。
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『碧巌録』第七十九則垂示に云く、大用現前すれば、軌則を存せず。活捉生擒、余力を労せず。且く道へ、是れ什麼人か曾て恁麼にし来たる。試みに挙し看よ。
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『碧巌録』第八則垂示に云く、会すれば則ち途中に受用して、龍の水を得るが如く、虎の山に靠るに似たり。会せざれば則ち世諦流布して、羝羊藩に触れ、株を守つて兎を待つ。有る時の一句は、踞地の獅子の如く、有る時の一句は、金剛王宝剣の如く、有る時の一句は、天下の人の舌頭を坐断し、有る時の一句は、波に随ひ浪を逐ふ。若也し途中に受用せば、知音に遇うて機宜を別ち、休咎を識つて相共に証明せん。若也し世諦流布せば、一隻眼を具して、以て十方を坐断し、壁立千仞なるべし。所以に道ふ、大用現前して、軌則を存せず。有る時は一茎草を将つて丈六の金身と作して用ひ、有る時は丈六の金身を将つて一茎草と作して用ふ。且く道へ、箇の什麼の道理に憑る。還た委悉すや。試みに挙し看ん。
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『碧巌録』第六十三則垂示に云く、意路到らざるところ、正に好し提撕するに。言詮及ばざるところ、宜しく急ぎ眼を著くべし。若也し電転じ星飛ばば、便ち湫を傾け嶽を倒すべし。衆中、辨得する底有ること莫しや。試みに挙し看ん。
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『碧巌録』第二十則垂示に云く、山を堆み嶽を積み、牆に撞き壁に磕る。佇思停機、一場の苦屈。或いは箇の漢有りて出で来たり、大海を掀翻し、須弥を踢倒し、白雲を喝散し、虚空を打破し、直下に一機一境に向かつて、天下の人の舌頭を坐断し、爾が近傍する処無し。且く道へ、従上来、是れ什麼人か曾て恁麼なる。試みに挙す看よ。
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『碧巌録』第四十三則垂示に云く、乾坤を定むる句は、万世共に遵ひ、虎兕を擒ふる機は、千聖も弁ずる莫し。直下に更に繊翳無く、全機随処に斉しく彰はる。向上の鉗鎚を明らめんと要せば、須らく是れ作家の炉韛なるべし。且く道へ、従上来還つて恁麼の家風有りや無しや。試みに挙し看よ。
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