碧巌録 / 第八則
垂示云。會則途中受用。如龍得水。似虎靠山。不會則世諦流布。羝羊觸藩守株待兔。有時一句。如踞地獅子。有時一句。如金剛王寶劍。有時一句。坐斷天下人舌頭。有時一句。隨波逐浪。若也途中受用。遇知音別機宜。識休咎相共證明。若也世諦流布。具一隻眼。可以坐斷十方。壁立千仞。所以道。大用現前。不存軌則。有時將一莖草。作丈六金身用。有時將丈六金身。作一莖草用。且道。憑箇什麼道理。還委悉麼。試舉看。
新字:垂示云。会則途中受用。如竜得水。似虎靠山。不会則世諦流布。羝羊触藩守株待兔。有時一句。如踞地獅子。有時一句。如金剛王宝剣。有時一句。坐断天下人舌頭。有時一句。随波逐浪。若也途中受用。遇知音別機宜。識休咎相共証明。若也世諦流布。具一隻眼。可以坐断十方。壁立千仞。所以道。大用現前。不存軌則。有時将一茎草。作丈六金身用。有時将丈六金身。作一茎草用。且道。憑箇什麼道理。還委悉麼。試舉看。
書き下し
垂示に云く、会すれば則ち途中に受用して、龍の水を得るが如く、虎の山に靠るに似たり。会せざれば則ち世諦流布して、羝羊藩に触れ、株を守つて兎を待つ。有る時の一句は、踞地の獅子の如く、有る時の一句は、金剛王宝剣の如く、有る時の一句は、天下の人の舌頭を坐断し、有る時の一句は、波に随ひ浪を逐ふ。若也し途中に受用せば、知音に遇うて機宜を別ち、休咎を識つて相共に証明せん。若也し世諦流布せば、一隻眼を具して、以て十方を坐断し、壁立千仞なるべし。所以に道ふ、大用現前して、軌則を存せず。有る時は一茎草を将つて丈六の金身と作して用ひ、有る時は丈六の金身を将つて一茎草と作して用ふ。且く道へ、箇の什麼の道理に憑る。還た委悉すや。試みに挙し看ん。
現代語訳
垂示にいう。わかっていれば、道の途中でそのまま受け用いて、龍が水を得たように、虎が山に寄りかかったようである。わかっていなければ、世俗の道理として流布して、雄羊が垣根に角を引っかけて身動きがとれず、切り株を守って兎を待つようなものだ。ある時の一句は、地にうずくまる獅子のようであり、ある時の一句は、金剛王の宝剣のようであり、ある時の一句は、天下の人の舌を断ち切り、ある時の一句は、波に従い浪を追う。もし道の途中で受け用いるなら、知己に会えば機の宜しきを見分け、吉凶を見極めて、ともに証し合うだろう。もし世俗の道理として流布するなら、一つの眼を具えて十方を断ち切り、千仞の壁のようにそそり立つべきである。だから言う、大いなる働きが目の前に現れて、規則を残さない、と。ある時は一本の草を一丈六尺の金色の仏身として用い、ある時は一丈六尺の金色の仏身を一本の草として用いる。さあ言ってみよ、どんな道理に拠っているのか。詳しくわかるか。試みに取り上げてみよう。
解説
この章句が説くこと
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