碧巌録 / 第七十九則
垂示云。大用現前。不存軌則。活捉生擒。不勞餘力。且道是什麼人。曾恁麼來。試舉看。
新字:垂示云。大用現前。不存軌則。活捉生擒。不労余力。且道是什麼人。曽恁麼来。試舉看。
書き下し
垂示に云く、大用現前すれば、軌則を存せず。活捉生擒、余力を労せず。且く道へ、是れ什麼人か曾て恁麼にし来たる。試みに挙し看よ。
現代語訳
垂示に言う。大いなる働きが目の前に現れるときは、決まった規則にとらわれない。生け捕りにするのに、余計な力を使わない。さて言ってみよ、どんな人がかつてこのようにやって来たか。試みに取り上げてみよ。
解説
圜悟の垂示で、短いながら本則の投子大同の働きを予告している。大いなる働きが現れるとき、人は決まった規則にとらわれず、相手を生け捕りにするのに余計な力を使わないという。本則の投子は、僧の問いにただ「是」と答え、相手が調子に乗るとすぐに打つ。言葉数は少ないが、相手の仕掛けを見抜いて逆に取り押さえる手並みである。圜悟は、そのような人がかつていたかと問いかけて本則へ導いている。規則や手順にとらわれず、最小の力で最大の効果を出す働き方を考えさせる一節である。
この章句が説くこと
大用現前軌則活捉生擒自由公案働き
関連する章句
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『碧巌録』第八則垂示に云く、会すれば則ち途中に受用して、龍の水を得るが如く、虎の山に靠るに似たり。会せざれば則ち世諦流布して、羝羊藩に触れ、株を守つて兎を待つ。有る時の一句は、踞地の獅子の如く、有る時の一句は、金剛王宝剣の如く、有る時の一句は、天下の人の舌頭を坐断し、有る時の一句は、波に随ひ浪を逐ふ。若也し途中に受用せば、知音に遇うて機宜を別ち、休咎を識つて相共に証明せん。若也し世諦流布せば、一隻眼を具して、以て十方を坐断し、壁立千仞なるべし。所以に道ふ、大用現前して、軌則を存せず。有る時は一茎草を将つて丈六の金身と作して用ひ、有る時は丈六の金身を将つて一茎草と作して用ふ。且く道へ、箇の什麼の道理に憑る。還た委悉すや。試みに挙し看ん。
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『碧巌録』第六十八則垂示に云く、天関を掀げ地軸を翻し、虎兕を擒へ龍蛇を辨ずるは、須らく是れ箇の活鱍鱍の漢にして始めて得べし。句句相投じ、機機相応ず。且く従上来、什麼人か合に恁麼なるべき。請ふ挙し看よ。
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『碧巌録』第十一則垂示に云く、仏祖の大機、全く掌握に帰し、人天の命脈、悉く指呼を受く。等閑の一句一言、群を驚かし衆を動かし、一機一境、鎖を打ち枷を敲く。向上の機に接し、向上の事を提す。且く道へ、什麼人か曾て恁麼にし来たる。還た落処を知るや。試みに挙す看よ。
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『碧巌録』第六十三則垂示に云く、意路到らざるところ、正に好し提撕するに。言詮及ばざるところ、宜しく急ぎ眼を著くべし。若也し電転じ星飛ばば、便ち湫を傾け嶽を倒すべし。衆中、辨得する底有ること莫しや。試みに挙し看ん。
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『碧巌録』第七十七則垂示に云く、向上に転じ去れば、以て天下の人の鼻孔を穿つべし、鶻の鳩を捉ふるに似たり。向下に転じ去れば、自己の鼻孔、別人の手裏に在り、亀の殻に蔵るるが如し。箇中に忽ち箇有つて出で来たつて道はん、「本来向上向下無し、転ずることを用ゐて什麼か作ん」と。只だ伊に向かつて道はん、「我も也た爾が鬼窟裏に向かつて活計を作すことを知る」と。且く道へ、作麼生か箇の緇素を辨ぜん。良久して云く、条有らば条に攀ぢ、条無くんば例に攀づ。試みに挙し看よ。
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『碧巌録』第三則垂示に云く、一機一境、一言一句、且く箇の入処有らんことを図る、好肉上に瘡を剜り、窠を成し窟を成す。大用現前して軌則を存せず、且く向上の事有ることを知らんことを図る、蓋天蓋地、又摸索不著。恁麼も也た得、不恁麼も也た得、太だ廉繊生。恁麼も也た得ず、不恁麼も也た得ず、太だ孤危生。二塗に渉らずして、如何なるか即ち是なる。請ふ試みに挙し看ん。
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