碧巌録 / 第二十則
垂示云。堆山積嶽。撞牆磕壁。佇思停機。一場苦屈。或有箇漢出來掀翻大海。踢倒須彌。喝散白雲。打破虛空。直下向一機一境。坐斷天下人舌頭。無爾近傍處。且道從上來。是什麼人曾恁麼。試舉看。
新字:垂示云。堆山積嶽。撞牆磕壁。佇思停機。一場苦屈。或有箇漢出来掀翻大海。踢倒須弥。喝散白雲。打破虚空。直下向一機一境。坐断天下人舌頭。無爾近傍処。且道従上来。是什麼人曽恁麼。試舉看。
書き下し
垂示に云く、山を堆み嶽を積み、牆に撞き壁に磕る。佇思停機、一場の苦屈。或いは箇の漢有りて出で来たり、大海を掀翻し、須弥を踢倒し、白雲を喝散し、虚空を打破し、直下に一機一境に向かつて、天下の人の舌頭を坐断し、爾が近傍する処無し。且く道へ、従上来、是れ什麼人か曾て恁麼なる。試みに挙す看よ。
現代語訳
垂示にいう。山を積み上げ岳を重ねたように行き詰まり、垣根にぶつかり壁に突き当たる。立ち止まって考え込み、働きが止まってしまうのは、一場の苦しい屈辱である。あるいは一人の男が出て来て、大海をひっくり返し、須弥山を蹴倒し、白雲を一喝して散らし、虚空を打ち破り、まっすぐ一つの働き、一つの境地において天下の人の舌を押さえ込み、お前たちが近づく余地もない。さあ言ってみよ、昔から、どんな人がかつてこのようであったか。試みに挙げてみるから、見よ。
解説
第二十則の前に圜悟が置いた垂示である。山を積み上げたように行き詰まり、壁にぶつかって考え込み、動けなくなるのは苦しい屈辱だと言う。そこへ大海をひっくり返し、須弥山を蹴倒し、白雲を一喝で散らし、虚空を打ち破る者が現れて、一機一境で天下の口を封じる。本則の龍牙、翠微、臨済の応酬がそうした人々の姿として挙げられる。考え込んで手が止まる状態は、仕事で誰もが経験する。そこを抜けるのは、さらに考えることではなく、行き詰まりそのものを蹴倒す一手である。そうした一手を打てる人はどこにいるのかと垂示は問う。
この章句が説くこと
垂示行き詰まり突破決断公案一機
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