碧巌録 / 第四十則
垂示云。休去歇去。鐵樹開花。有麼有麼黠兒落。節。直饒七縱八橫。不免穿他鼻孔。且道誵訛在什麼處。試舉看。
新字:垂示云。休去歇去。鉄樹開花。有麼有麼黠児落。節。直饒七縦八横。不免穿他鼻孔。且道誵訛在什麼処。試舉看。
書き下し
垂示に云く、休し去り歇し去れば、鉄樹花を開く。有りや有りや。黠児も節を落す。直饒七縦八横なるも、他に鼻孔を穿たるることを免れず。且く道へ、誵訛什麼の処にか在る。試みに挙し看ん。
現代語訳
垂示にいう。休みきり、やみきってしまえば、鉄の木にも花が咲く。そういう者はいるか、いるか。抜け目のない者でも、しくじることがある。たとえ縦横自在であっても、相手に鼻づらに綱を通されることを免れない。さて言ってみよ、そのもつれはどこにあるのか。試みに取り上げてみよう。
解説
第四十則に付けた圜悟の垂示である。休し去り歇し去れば鉄樹に花が開くとは、分別の働きを休め尽くしたところに、ありえないことが起こるという意である。そういう人はいるかと問いつつ、黠児も節を落す、利口な者ほどしくじると言う。七縦八横に自在でも、鼻に綱を通されることは免れないとも警告する。そのもつれがどこにあるのかを問うて、この後に陸亘大夫と南泉の問答が続く。頭が切れる人ほど、自分の理解に足をすくわれやすい。手を休める勇気が新しい展開を生むことを考えさせる垂示である。
この章句が説くこと
垂示無心休歇分別鉄樹公案
関連する章句
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『碧巌録』第四十則南泉の答ふる処は、衲僧の巴鼻を用ゐて、他の与に痛処を拈出して、他の窠窟を破す。遂に庭前の花を指して、大夫を召して云く、時人此の一株の花を見ること、夢の如くに相似たりと。人を引いて万丈の懸崖上に向かひて一推を打して、他をして命断ぜしむるが如し。爾若し平地上にて弥勒仏の下生するを推倒するも、也た只だ命断ずることを解せず。亦た人の夢に在りて、覚めんと欲して覚めざるに、人に喚び醒まさるるが如くに相似たり。南泉若し是れ眼目正しからずんば、必定他に搽糊せられ将ち去らん。看よ他の恁麼の説話、也た会し難きことを妨げず。若し是れ眼目定動する、活底聞得せば、醍醐の上味の如し。若し是れ死底聞得せば、翻つて毒薬と成る。古人道ふ、若し事上に於て見れば、常情に堕在す。若し意根下に向いて卜度すれば、卒に摸索不著ならんと。巌頭道ふ、此れは是れ向上人の活計、只だ目前の些子を露はす、電払の如くに同じと。南泉の大意は此の如し。虎兕を擒へ龍蛇を定むる底の手脚有り。這裏に到りては也た須らく是れ自ら会して始めて得べし。見ずや道ふ、向上の一路、千聖も伝へず、学者形を労すること猿の影を捉ふるが如しと。看よ他の雪竇の頌出することを。
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