碧巌録 / 第四十二則
垂示云。單提獨弄帶水拕泥敲唱俱行。銀山鐵壁。擬議則髑髏前見鬼。尋思則黑山下打坐。明明杲日麗天。颯颯清風匝地。且道古人還有誵訛處麼。試舉看。
新字:垂示云。単提独弄帯水拕泥敲唱倶行。銀山鉄壁。擬議則髑髏前見鬼。尋思則黒山下打坐。明明杲日麗天。颯颯清風匝地。且道古人還有誵訛処麼。試舉看。
書き下し
垂示に云く、単提独弄、帯水拕泥、敲唱俱に行ず。銀山鉄壁、擬議すれば則ち髑髏前に鬼を見、尋思すれば則ち黒山下に打坐す。明明たる杲日天に麗き、颯颯たる清風地を匝る。且く道へ、古人還つて誵訛の処有りや。試みに挙し看よ。
現代語訳
垂示に言う。ただ一つを掲げて独り弄ぶこともあれば、水を帯び泥にまみれて人に寄り添うこともあり、叩くことと唱えることが共に行われる。銀の山、鉄の壁のように取りつく島がない。あれこれ考え迷えば髑髏の前で幽霊を見ることになり、思いめぐらせば黒山の下に座り込むことになる。明らかな太陽が天にかかり、さわやかな風が大地をめぐっている。さあ言ってみよ、古人にはなお紛らわしいところがあるだろうか。試みに取り上げてみよう。
解説
第四十二則の冒頭に置かれた圜悟の垂示である。師家の導き方には、ひとり本分を掲げて突き放すやり方と、泥水にまみれて学人に寄り添うやり方とがあり、その両方が同時に働くと言う。だがその境地は銀山鉄壁のように近づき難く、ためらって思案すれば髑髏の前で鬼を見るような迷いに落ちる。一方で、太陽は明らかに照り、清風は大地をめぐっており、真実は何も隠れていない。考え込むほど見失い、ありのままに見れば明らかだという、本則の雪の問答への導きである。垂示は古人に紛らわしい処があるかと問い、読み手自身の眼を試している。
この章句が説くこと
垂示分別迷い指導銀山鉄壁明明
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