碧巌録 / 第三十八則
垂示云。若論漸也。返常合道。閙市裏七縱八橫。若論頓也。不留朕迹。千聖亦摸索不著。儻或不立頓漸。又作麼生。快人一言快馬一鞭。正恁麼時。誰是作者。試舉看。
新字:垂示云。若論漸也。返常合道。閙市裏七縦八横。若論頓也。不留朕迹。千聖亦摸索不著。儻或不立頓漸。又作麼生。快人一言快馬一鞭。正恁麼時。誰是作者。試舉看。
書き下し
垂示に云く、若し漸を論ぜば、常に返して道に合ひ、閙市裏に七縦八横す。若し頓を論ぜば、朕迹を留めず、千聖も亦た摸索不著。儻或し頓漸を立てずんば、又作麼生。快人は一言、快馬は一鞭。正恁麼の時、誰か是れ作者。試みに挙し看ん。
現代語訳
垂示にいう。もし漸(段階を追う修行)を論じるなら、常識を逆さにして道にかない、にぎやかな町の中を縦横自在に行き来する。もし頓(たちどころの悟り)を論じるなら、兆しも跡もとどめず、千の聖者でさえ手探りすらできない。もし頓も漸も立てないとしたら、さてどうか。すぐれた人には一言で足り、駿馬には一鞭で足りる。まさにこのとき、誰が練達の者か。試みに取り上げてみよう。
解説
第三十八則に付けた圜悟の垂示である。漸修の道は常識を返して道に合い、雑踏の中を縦横に行き来する。頓悟の道は跡を留めず、千聖も手探りできない。では頓も漸も立てなければどうかと圜悟は問い、快人は一言、快馬は一鞭と答えの方向を示す。わかる人には一言で足り、わからない人にはいくら言っても届かない。この後に、風穴延沼が鉄牛の機を説いて盧陂長老を退ける本則が続く。段階的に育てるか一気に任せるかという育成論の議論も、相手を見ずには決まらないと考えさせる垂示である。
この章句が説くこと
垂示頓悟漸修修行快人作者
関連する章句
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