導師導古典を学びたいすべての人に

碧巌録 / 第三十六則

長沙鹿苑招賢大師。法嗣南泉。與趙州紫胡輩同時。機鋒敏捷。有人問教。便與說教。要頌便與頌。爾若要作家相見。便與爾作家相見。仰山尋常機鋒。最為第一。一日同長沙翫月次。仰山指月云。人人盡有這箇。只是用不得。沙云恰是。便倩爾用那。仰山云。爾試用看。沙一踏踏倒仰山起云。師叔一似箇大蟲。後來人號為岑大蟲。

新字:長沙鹿苑招賢大師。法嗣南泉。与趙州紫胡輩同時。機鋒敏捷。有人問教。便与説教。要頌便与頌。爾若要作家相見。便与爾作家相見。仰山尋常機鋒。最為第一。一日同長沙翫月次。仰山指月云。人人尽有這箇。只是用不得。沙云恰是。便倩爾用那。仰山云。爾試用看。沙一踏踏倒仰山起云。師叔一似箇大虫。後来人号為岑大虫。

書き下し

長沙鹿苑招賢大師は、南泉に法嗣し、趙州・紫胡の輩と時を同じうす。機鋒敏捷なり。人有りて教を問へば、便ち与に教を説き、頌を要すれば便ち頌を与ふ。爾若し作家として相見えんと要せば、便ち爾と作家として相見ゆ。仰山尋常機鋒最も第一たり。一日長沙と同じく月を翫ぶ次で、仰山月を指して云く、人人尽く這箇有り、只だ是れ用不得なり。沙云く、恰も是なり、便ち爾を倩うて用ゐしめん。仰山云く、爾試みに用ゐ看よ。沙一踏に踏倒す。仰山起きて云く、師叔は一に箇の大虫に似たりと。後来人号して岑大虫と為す。

現代語訳

長沙の鹿苑招賢大師(景岑)は南泉の法を嗣ぎ、趙州や紫胡と同じ時代の人である。機鋒が鋭く素早かった。人が教えを問えば教えを説き、頌を求めれば頌を与えた。お前がもし練達者として相見えたいと望めば、練達者として相見えてくれた。仰山はふだん機鋒の鋭さでは第一であった。ある日、長沙と一緒に月を眺めていたとき、仰山は月を指さして言った、「人は誰もがこれを持っているが、ただ使うことができない」。長沙は言った、「ちょうどよい、ではお前に使ってもらおう」。仰山は言った、「あなたが試しに使ってみてください」。長沙はひと蹴りで仰山を踏み倒した。仰山は起き上がって言った、「師叔はまるで虎のようだ」。のちに人々は彼を岑大虫(岑の虎)と呼んだ。

解説

第三十六則の本則評唱の冒頭で、圜悟が長沙景岑の人となりを紹介する段である。長沙は南泉普願の法を嗣ぎ、趙州や紫胡と同時代で、相手に応じて教えも頌も与え、作家には作家として応じた。月見の席で仰山が、人は皆これを持つが使えないと言うと、長沙はならば使ってみせると仰山を踏み倒した。仰山は、まるで虎だと言い、以後長沙は岑大虫と呼ばれた。理屈で語られたものを、行動で一瞬にして示したのである。会議で抽象論が続くとき、実際にやってみせる一手が議論を終わらせることがある。

この章句が説くこと

禅機自在作家長沙仰山行動

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る