碧巌録 / 第十則
夾山無礙禪師降魔表慧芳附刊臣聞。三乘路廣。法界無涯。智海晏清。十方安泰。時有魔軍兢起。侵撓心田。六賊既強。心王驚動。朝生百怪。暮起千邪。撼惑真如。困勞法體。菩提道路。隔絕不通。破壞涅槃。傷殘三寶。無為珠玉。悉被偷將。大藏法財。皆遭劫奪。塵勞翳日。欲火亘天。飄蕩法城。焚燒聖境。臣乃見如斯暴亂。恐佛法以難存。遂與六波羅蜜商量。同為剪滅。遣性空為密使。聽探魔軍。見今屯在五蘊山中。有八萬四千餘眾。既知體勢。計在剎那。遂點十八界雄兵。
新字:夾山無礙禅師降魔表慧芳附刊臣聞。三乗路広。法界無涯。智海晏清。十方安泰。時有魔軍兢起。侵撓心田。六賊既強。心王驚動。朝生百怪。暮起千邪。撼惑真如。困労法体。菩提道路。隔絶不通。破壊涅槃。傷残三宝。無為珠玉。悉被偸将。大蔵法財。皆遭劫奪。塵労翳日。欲火亘天。飄蕩法城。焚焼聖境。臣乃見如斯暴乱。恐仏法以難存。遂与六波羅蜜商量。同為剪滅。遣性空為密使。聴探魔軍。見今屯在五蘊山中。有八万四千余衆。既知体勢。計在刹那。遂点十八界雄兵。
書き下し
夾山無礙禅師の降魔表、慧芳附刊す。臣聞く、三乗の路広く、法界涯無く、智海晏清にして、十方安泰なりと。時に魔軍兢ひ起つて、心田を侵撓する有り。六賊既に強く、心王驚動す。朝に百怪を生じ、暮に千邪を起し、真如を撼惑し、法体を困労せしむ。菩提の道路、隔絶して通ぜず、涅槃を破壊し、三宝を傷残す。無為の珠玉、悉く偸将せられ、大蔵の法財、皆劫奪に遭ふ。塵労日を翳ひ、欲火天に亘り、法城を飄蕩し、聖境を焚焼す。臣乃ち斯の如き暴乱を見て、仏法の以て存し難からんことを恐れ、遂に六波羅蜜と商量して、同じく剪滅を為さんとす。性空を遣はして密使と為し、魔軍を聴探せしむるに、見今五蘊山中に屯在して、八万四千余衆有り。既に体勢を知る、計は刹那に在り。遂に十八界の雄兵を点ず。
現代語訳
夾山無礙禅師の降魔表(慧芳が付して刊行する)。臣が聞くところでは、三乗の道は広く、法界は果てしなく、智慧の海は穏やかに澄み、十方は安らかであるという。ところがその時、魔軍が競って起こり、心の田を侵し乱すことがあった。六賊はすでに強く、心王は驚き動揺した。朝には百の怪異を生じ、夕べには千の邪を起こし、真如を揺さぶり惑わせ、法身を苦しめ疲れさせた。菩提への道は隔てられて通じず、涅槃を破壊し、三宝を傷つけた。無為の珠玉はことごとく盗み去られ、大蔵経の法の財はみな略奪にあった。煩悩の塵は日を覆い、欲の火は天に広がり、法の城を揺り動かし、聖なる境地を焼き払った。臣はこのような暴乱を見て、仏法が存続しがたくなることを恐れ、そこで六波羅蜜と相談して、ともに討ち滅ぼそうとした。性空を密使として遣わし、魔軍の様子を探らせたところ、目下、五蘊山の中に駐屯し、八万四千余りの軍勢がいるという。その形勢を知ったからには、勝負は刹那にある。そこで十八界の勇兵を召集した。
解説
この章句が説くこと
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