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碧巌録 / 第五則

如今人只管道。古人特地做作。教後人依規矩。若恁麼。正是謗他古人。謂之出佛身血。古人不似如今人苟且。豈以一言半句。以當平生。若扶竪宗教。續佛壽命。所以吐一言半句。自然坐斷天下人舌頭。無爾著意路作情解。涉道理處。看他此箇示眾。蓋為他曾見作家來。所以有作家鉗鎚。凡出一言半句。不是心機意識思量鬼窟裏作活計。直是超群拔萃。坐斷古今。不容擬議。他家用處。盡是如此。

新字:如今人只管道。古人特地做作。教後人依規矩。若恁麼。正是謗他古人。謂之出仏身血。古人不似如今人苟且。豈以一言半句。以当平生。若扶竪宗教。続仏寿命。所以吐一言半句。自然坐断天下人舌頭。無爾著意路作情解。渉道理処。看他此箇示衆。蓋為他曽見作家来。所以有作家鉗鎚。凡出一言半句。不是心機意識思量鬼窟裏作活計。直是超群抜萃。坐断古今。不容擬議。他家用処。尽是如此。

書き下し

如今の人只管に道ふ、「古人特地に做作して、後人をして規矩に依らしむ」と。若し恁麼ならば、正に是れ他の古人を謗るなり。之を仏身より血を出だすと謂ふ。古人は如今の人の苟且なるに似ず。豈に一言半句を以て平生に当てんや。若し宗教を扶竪し、仏の寿命を続がば、所以に一言半句を吐いて、自然に天下の人の舌頭を坐断す。爾が意路を著け、情解を作し、道理に渉る処無し。看よ他の此箇の示衆、蓋し他曾て作家を見来るが為に、所以に作家の鉗鎚有り。凡そ一言半句を出だすに、是れ心機意識思量の鬼窟裏に活計を作すにあらず。直に是れ群を超え萃を抜き、古今を坐断して、擬議を容れず。他家の用処、尽く是れ此の如し。

現代語訳

今の人はひたすら「古人はわざわざ作為して、後の人に規則に従わせたのだ」と言う。もしそうなら、まさに古人を謗ることになる。これを仏の身から血を流させるという。古人は今の人のようにいい加減ではなかった。どうして一言半句で平生の修行に代えようか。宗旨を支え立て、仏の命を継ごうとするからこそ、一言半句を吐けば、おのずと天下の人の舌を断ち切るのである。お前たちが意の筋道をつけたり、情による理解をしたり、道理に関わったりする余地はない。彼のこの示衆を見よ。思うに彼はかつて練達の師家に会ってきたので、練達の師家の鍛えの手並みを持っている。およそ一言半句を出すのに、心のはからいや意識や思量の鬼の洞窟の中で暮らしを立てるようなものではない。まさに群を抜き、古今を断ち切って、ためらいを容れない。彼の働きは、すべてこのようである。

解説

圜悟は、古人の言葉は後人に規則を守らせるためのわざとらしい作為だと見る今の人の考えを、古人を謗り仏身から血を出す重罪だと厳しく退ける。古人は一言半句で平生の修行に代えるようないい加減な者ではなく、長い修練の末に吐く一言だからこそ、天下の人の舌を断ち切る力をもつ。雪峰の示衆も、練達の師家に鍛えられてきたからこその言葉であり、はからいや思量の洞窟から出たものではないと言う。現代の働く者には、先人の簡潔な言葉を形式や建前と侮らず、その背後にある修練の厚みを読み取れという教えとして響く。

この章句が説くこと

一言半句雪峰修練言葉作家重み

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