碧巌録 / 第四則
垂示云。青天白日。不可更指東劃西。時節因緣。亦須應病與藥。且道。放行好。把定好。試舉看。
新字:垂示云。青天白日。不可更指東劃西。時節因縁。亦須応病与薬。且道。放行好。把定好。試舉看。
書き下し
垂示に云く、青天白日、更に東を指し西を劃すべからず。時節因縁、亦た須らく病に応じて薬を与ふべし。且く道へ、放行するが好きか、把定するが好きか。試みに挙し看ん。
現代語訳
垂示にいう。青空に白日が照る明らかなところで、さらに東を指し西を区切ってはならない。とはいえ時節と因縁に応じて、病に合わせて薬を与えることも必要である。さあ言ってみよ、放して自由にさせるのがよいか、押さえ込むのがよいか。試みに取り上げてみよう。
解説
第四則の前に置かれた圜悟の短い垂示である。真理が白日のように明らかなら、あれこれ指し示す必要はない。しかし実際には、相手の状態や時節に応じて、病に合った薬を与えるように手立てを変えねばならない。そこで圜悟は、放して自由にさせる「放行」と、押さえ込む「把定」のどちらがよいかと問いかける。続く本則では、徳山が溈山を訪ね、溈山が坐ったまま相手を見極める場面が描かれ、この放行と把定の妙が示される。現代の働く者には、部下や相手を任せて伸ばすか、締めて正すかという判断を、決まった型ではなく時と相手に応じて選ぶことの大切さとして読める。
この章句が説くこと
垂示放行把定応病与薬指導判断
関連する章句
-
うひ山ぶみ・第十六段さてまづ上の件のごとくなれば、まなびのしなも、しひてはいひがたく、学びやうの法も、かならず云々してよろしとは、定めがたく、又定めざれども、実はくるしからぬことなれば、たゞ心にまかすべきわざなれども、さやうにばかりいひては、初心の輩は、取リつきどころなくして、おのづから倦おこたるはしともなることなれば、やむことをえず、今宣長が、かくもやあるべからんと思ひとれるところを、一わたりいふべき也、
-
『夜船閑話』序云く、師鵠林に住すること大凡四十年、鉢囊を掛けしより以来、雲水参玄の布衲纔かに門閫に跨れば、師の毒涎を甘なひ痛棒を滋として辞し去ることを忘るゝ者或は十年或は二十年、鵠林々下の塵と成る事も亦総に顧みざる底あり。尽く是叢林の頭角、四方の精英なり。
-
『正法眼蔵随聞記』巻一先師天童浄和尚住持のとき、僧堂にて衆僧坐禅の時、眠りを誠しむるに履を以て打ち、謗言呵嘖せしかども、衆僧皆打たるゝを喜び讃嘆しき、有時亦上堂の次でに云く、我れ既に老後、今は衆を辞し、菴に住して、老を扶けて居るべけれども、衆の知識として、各の迷を破り道を授けんがために住持人たり、是に依て或は呵嘖の詞ばを出し、竹箆打擲等のことを行ず、是頗る怖れあり、然あれども仏に代て化儀を揚る式なり、諸兄弟慈悲を以て是を許し給へと言へば、衆僧皆流涕しき、
-
論語・為政篇季康子問う、民をして敬忠以て勧むるには、之を如何せん。子曰く、「之に臨むに荘を以てすれば、則ち敬す。孝慈なれば、則ち忠。善を挙げて不能を教うれば、則ち勧む。」
-
『後世への最大遺物』第一回・クロムウェルが遺した国今日の英国はえらい国である、今日のアメリカの共和国はえらい国であると申しますが、それは何から始まったかと、たびたび考えてみる。それで私は尊敬する人について少しく偏するかも知れませぬが、もし偏しておったならばそのようにご裁判を願います。けれども私の考えまするには、今日のイギリスの大なるわけは、イギリスにピューリタンという党派が起ったからであると思います。アメリカに今日のような共和国の起ったわけは何であるか、イギリスにピューリタンという党派が起ったゆえである。しかしながら、この世にピューリタンが大事業を遺したといい、遺しつつあるというは何のわけであるかというと、何でもない、このなかにピューリタンの大将がいたからである。
-
『慎思録』巻之四子弟門人に対しては、須らく事に随ひて教誨すべし。過ち有れば則ち規戒す。疎懶にして黙止すべからず。此の如くすれば則ち庶はくは漸くにして益有らん。人を教育するの道、宜しく此の如くなるべし。奴僕と雖も、亦た教誨無かるべからず。若し或いは疎懶にして教へず、姑息にして戒めざれば、即ち朝夕親炙の久しきと雖も、過ちを聞き誨へを受くるの益無し。此れ中や不中を棄て、才や不才を棄つるなり。君子の人を教育するの道に非ざるなり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る