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兵術要訓抄録 / 車軸としての不動心

理を離れて勝を極るヿならざるものなり、又理を知るとも業を練磨せざれば進退動靜自由ならず、たとへば膝行の喧嘩をするが如く、口をきけども敵するヿあたはず、故に業理は兩輪兩翼の如く、車兩輪備て全行事叶ふ、鳥兩翼揃て翔るヿなる、然るに心は又車軸鳥躰にて、車軸なきときは行事叶はず、鳥躰無きときは飛翔る事叶はず、軸有て兩輪全し、體有て兩翼全し、故に不動心は本なり、心亂るゝときは業も理も轉動してなす事あたはず、業をなし理を明にして勝を得るは、たゞ心の不動にあるなり、凡兵術を學ぶ人、業理心の三を修して、武の奧義を極むべし、

新字:理を離れて勝を極るヿならざるものなり、又理を知るとも業を練磨せざれば進退動静自由ならず、たとへば膝行の喧嘩をするが如く、口をきけども敵するヿあたはず、故に業理は両輪両翼の如く、車両輪備て全行事叶ふ、鳥両翼揃て翔るヿなる、然るに心は又車軸鳥体にて、車軸なきときは行事叶はず、鳥体無きときは飛翔る事叶はず、軸有て両輪全し、体有て両翼全し、故に不動心は本なり、心乱るゝときは業も理も転動してなす事あたはず、業をなし理を明にして勝を得るは、たゞ心の不動にあるなり、凡兵術を学ぶ人、業理心の三を修して、武の奥義を極むべし、

書き下し

理を離れて勝を極るヿならざるものなり、又理を知るとも業を練磨せざれば進退動靜自由ならず、たとへば膝行の喧嘩をするが如く、口をきけども敵するヿあたはず、故に業理は兩輪兩翼の如く、車兩輪備て全行事叶ふ、鳥兩翼揃て翔るヿなる、然るに心は又車軸鳥躰にて、車軸なきときは行事叶はず、鳥躰無きときは飛翔る事叶はず、軸有て兩輪全し、體有て兩翼全し、故に不動心は本なり、心亂るゝときは業も理も轉動してなす事あたはず、業をなし理を明にして勝を得るは、たゞ心の不動にあるなり、凡兵術を學ぶ人、業理心の三を修して、武の奧義を極むべし、

現代語訳

理を離れて勝ちを極めることはできないものです。また、理を知っても業を練磨しなければ、進退動静が自由にならず、たとえば膝で歩いて喧嘩をするようなもので、口は達者でも敵することはできません。だから業と理は両輪両翼のようで、車は両輪が備わって初めて進むことができ、鳥は両翼がそろって初めて翔けることができます。そして心はまた車軸、鳥の胴体であり、車軸がなければ進むことはできず、胴体がなければ飛び翔ることはできません。軸があって両輪が全うされ、胴体があって両翼が全うされます。だから不動心は本です。心が乱れるときは、業も理も転動して、何もすることができません。業を行い、理を明らかにして勝ちを得るのは、ひとえに心が不動であることにあります。およそ兵術を学ぶ人は、業、理、心の三つを修めて、武の奥義を極めなさい。

解説

理だけを知って業を練らない者は、膝で歩きながら口喧嘩をするようなもので、口は達者でも敵にならないと皮肉を込めて述べる章句です。そして業と理を支える軸が心であり、心が乱れれば業も理も働かないとして不動心を根本に置き、業、理、心の三つを修めて奥義を極めよと結びます。理屈ばかりで実行が伴わない人、技能はあっても動揺で力を出せない人という二つの失敗の型は、職場でもよく見られます。管理職は、何が欠けているかを見極めて育成の焦点を決められます。

この章句が説くこと

不動心車軸業理心実践理論奥義

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