兵術要訓抄録 / 安達自保の跋
此諺文兵術冊。友人安達自保氏之所手錄也。其發明劔術。批族投虛。殆將入神境。可謂虎鈴秘錄矣。至若其論內外魔障。則言雖混俗雜異。而於省察克己之要。切亦將有與吾儒足相發者。斯可不嘉尚乎哉。
新字:此諺文兵術冊。友人安達自保氏之所手録也。其発明剣術。批族投虚。殆将入神境。可謂虎鈴秘録矣。至若其論内外魔障。則言雖混俗雑異。而於省察克己之要。切亦将有与吾儒足相発者。斯可不嘉尚乎哉。
書き下し
此の諺文の兵術冊は、友人安達自保氏の手録する所なり。其の劔術を発明すること、族を批き虚を投じ、殆ど将に神境に入らんとす。虎鈴の秘録と謂ふべし。其の内外の魔障を論ずるが若きに至りては、則ち言は俗に混じ異を雑ふと雖も、省察克己の要に於いては、切にして亦将に吾が儒と相発するに足る者有らんとす。斯れ嘉尚せざるべけんや。
現代語訳
この俗語で書かれた兵術の書は、友人の安達自保氏が自ら書き記したものである。その剣術の工夫は、敵の隙や空虚をつくことにおいて、ほとんど神の境地に入ろうとしている。虎鈴の秘録といってよい。内外の魔障を論じたところについては、言葉は俗に混じり、異なるものも雑じってはいるが、省みて己に克つという要点においては、切実で、また我が儒学と互いに啓発し合うに足るものがある。これを褒めたたえないでいられようか。
解説
書の末に付された漢文の跋で、友人が手録したこの書を称えています。剣術の工夫が神の境地に近いと述べ、虎鈴、すなわち兵法書の秘録にたとえ、魔障を論じた部分は、言葉は俗でも、省みて己に克つという要点で儒学と通じ合うと評します。この跋は手録した人として安達自保氏の名を挙げており、書の著者との関係は本文だけでは確かめられません。武技の指南にとどまらず、自省と克己の書として読まれたことを示します。管理職も、実務書から自省の要点を拾う読み方の手本にできます。
この章句が説くこと
跋安達自保虎鈴省察克己儒学魔障
関連する章句
-
『兵要録抄録』・校刻兵要録の跋澹齋先生の兵要錄一書は、文武を以て一途と爲し、王を尊び覇を賤しむ。其の言は江河の源委有るが如く、下に臨み衆を御し、法度森嚴なること、霽月の寒空に繫かるが如し。其の間藹然として春風の面目に披拂入るなり。豈に特だ兵の云ふのみならんや。然り而して謄寫已に廣く、脫誤眇かならず。我が老侯之を憂へ、家翁安元等に命じて校正せしめ、因りて活刷を以て頒つ。今侯厥の志を繼ぎ、版を鏤りて以て天下に公にせんと欲す。臣安利等 命を奉じて再び校讎し、句讀を正し、訓點を施す。意ふに二侯の盛美を奉揚し、先師の典刑を朽ちざらしめんと欲するは、臣の至願なり。
-
『兵術要訓抄録』・上手と達人上手とは至靜者を云なり、達人とは至達者の事也、術理通達して靜心の塲の術者を上手と云也、過陽者才覺者にも大抵上手はあれども術理聞きが故に上手とは云ひ難し、又術理通達して不動心の術者を達人と云也、名人とは達人の事也、
-
『武士訓』跋右武士訓五卷。應友人之需。編輯之。正德五年正月 日
-
『武人訓抄録』・武の字義と本書への序凡そ士君子の道とする所は、能く己を修めて以て亂を戢め、易に居て以て難を制すれば、則ち往く所として至大至剛ならざる無し。且つ夫れ武の字たるや、干戈を止め、咸寧に歸するを以て義と爲す。豈に暴虎馮河の謂ならんや。世の武を講ずる者は、多く揣摩譎詐、人を致して人に致されざるを以て、此の學の樞要と爲す。奚ぞ神武の運用發揚方無くして、多々益々辨じ、斯の道を轉々するを知るに足らんや。然れども其の敎へたるや、德に仁義忠信に據り、藝に刺擊射騎に游ぶに過ぎざるのみ。蓋し其の至るに及びては、古の所謂聰明睿智にして殺さざる者、其れ亦庶幾からんか。村井氏の此の書を編むや、雜兵家者流を超ゆること、何ぞ啻に倍蓰のみならんや。顧みるに夫れ吾が秀眞英靈の鍾まる所、風敎萬方に大いに殊なり。越に純粹精銳の道を以てし、斯の民をして忠に克く孝に克くして時義に嚮はざる莫からしめば、則ち人を致して人に致されずといふ者は、又何ぞ道ふに足らんや。嗚呼、彼の剽襲を事とする者は、碱砆を以て和璧に混じ、囁々焉として之を詭秘す。今は古に邁ぎ、故に天錫の神武を僭して躬ら太阿の鋒を鈍くする者多し。嘗て竊かに此の編の指を觀るに、固より神武に臻るの棧梯なり。斯に從事する者は、尚くは其れ勉めよ。僕は未だ其の門牆を瞰ず、浪りに固陋の心を叩き、將た復た愧報に勝へず。豈に敢て之を序すと云はんや。豈に敢て之を序すと云はんや。
-
『兵術要訓抄録』・兵術の二つの要と主静凡そ兵術とは、其の要に二つ有り。蓋し能く師授の形術を執りて以て其の支体を練熟するが一なり。又能く彼此の妙理を察して以て其の動静を神化するが二なり。此の二者は猶ほ車の両輪を備へ、鳥の両翼を共にするがごとし。必ず偏廃すべからず。而して所謂主静なる者は、又其の機軸なり。蓋し言ふ、車は両輪を全くすと雖も、然れども軸無ければ則ち其れ何を以て之を行らんや。鳥は両翼を列ぬと雖も、然れども体無ければ則ち亦之を尸る者無し。故に主静とは此れ其の本なり。如し能く之を知らば、則ち其の心身の作止勝敗の秘密を燭らすこと、亦猶ほ掌を指すがごとし。因りて兵術要訓一巻を撰し、以て其の義を明らかにす。未だ備はらざる者有るが若しと雖も、亦将に以て後学の一助と為さんと云爾。
-
『兵術要訓抄録』・心の修行と勇平常心の修行をする時は眞劔といへども恐るゝヿなく心靜る也、又心の修行とは、第一勇を固めて臆を去る、第二捨身其外傳あり、不動心の術者の敵を受ずんば知れがたし、勇を固るとは、山林墓所森川妖怪出る處などへ往き終夜こもるヿなり、是に傳ありといへども、傳を不知とも修すれば德あり、君子は危きに近よらずと云事あれば、道に逆ふやう思ふ人も有べし、然れども危きを遁んためと、敵に勝て大功を立、忠を立ん爲の事にして、君子の道に違ふヿなし、扨又心の行は師傳なくてはならざれども、此書心の道理を說し書なれば、此書の理をよく合點し、我心を此書の通りになるやうに常々修する時は、是則心の修行にて、終に不動心の塲に至るべし、

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る