兵術要訓抄録 / 真行草の三段階
草とは、師傳の術を修行して進退を自由になし、躰を固め手のうちを固むる是草なり、行とは、師傳の術の深意を知り、勝負の道理を通達するを行と云なり、眞とは草行を修し得て一心不動の塲を云也、たとへば冶工刀を鍛、先形出來たる所草なり、夫より鉇を以て刄をつけし所行也、又砥にかけ研あげねた刄を合せし處是眞なり、眞行草を得たるを達人と云也、
新字:草とは、師伝の術を修行して進退を自由になし、体を固め手のうちを固むる是草なり、行とは、師伝の術の深意を知り、勝負の道理を通達するを行と云なり、真とは草行を修し得て一心不動の塲を云也、たとへば冶工刀を鍛、先形出来たる所草なり、夫より鉇を以て刄をつけし所行也、又砥にかけ研あげねた刄を合せし処是真なり、真行草を得たるを達人と云也、
書き下し
草とは、師傳の術を修行して進退を自由になし、躰を固め手のうちを固むる是草なり、行とは、師傳の術の深意を知り、勝負の道理を通達するを行と云なり、眞とは草行を修し得て一心不動の塲を云也、たとへば冶工刀を鍛、先形出來たる所草なり、夫より鉇を以て刄をつけし所行也、又砥にかけ研あげねた刄を合せし處是眞なり、眞行草を得たるを達人と云也、
現代語訳
草とは、師から伝わった術を修行して、進退を自由にこなし、体を固め、手の内を固めることをいいます。これが草です。行とは、師伝の術の深い意味を知り、勝負の道理を通じて理解することをいいます。真とは、草と行を修め終えて、一心が動かない境地をいいます。たとえば鍛冶が刀を鍛えるとき、まず形ができあがったところが草です。それから鉋で刃をつけたところが行です。さらに砥石にかけて研ぎ上げ、刃を合わせたところが真です。真行草を身につけた者を達人といいます。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『兵術要訓抄録』・上手と達人上手とは至靜者を云なり、達人とは至達者の事也、術理通達して靜心の塲の術者を上手と云也、過陽者才覺者にも大抵上手はあれども術理聞きが故に上手とは云ひ難し、又術理通達して不動心の術者を達人と云也、名人とは達人の事也、
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『兵術要訓抄録』・術行から至達へ師傳の術を無益の事のやうに思ふは修行たらざるゆへなり、夫よりして師傳の術をすてゝ才覺者となる人多し、修行さへ至れば師傳の術は遣るゝ也、此術行者は終に上手にも達人にも可成、又敵の透を見て擊事を主とする人を至靜者と云は靜心の塲に至りし術者と云ヿにて、敵の透を見て勝を得るとは上手の塲にて未熟ではならざるなり、術行者功を經て至靜者となるべし、又不動心の妙にて勝人を至達者と云は至極達人と云事也、達人とは不動心の術者を云なり、不動心の妙とは不動心に至らざれば知れがたし、又至靜者功を經て至達者となるべし、過陽者才覺者は、至達の塲に至るヿならざる間、此理を合點して過陽者は過陽の過を改め、才覺者は才覺の術理に至らざる事を合點して改めかえて術行至靜を專一にすれば、終に至道の塲に至るべし、又才覺者の謀擊は、術行至靜を專にして折には謀擊をつかふは不苦、術行至靜調ふ時は謀擊の入らぬと云事合點して頼ともせざるなり、過陽者の過は亡命の端なり、恐れ愼むべし、過陽も內心陰にして謀て過陽なるは格別の事にて、才覺者の上手のする事なり、
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『兵術要訓抄録』・業理心の三要凡兵術に其要三有り、業理心是也、業とは師授の形術を學びて躰を固め進退動靜を自由にして、討はうち、突はつき、受るはうけ、進は進の業に達するを云なり、理とは勝敗の理なり、凡此要訓は皆理を以主靜ならしむる書也、其外師授の形術各理あり、是を通達するヿを理と云なり、心とは主靜なり、主靜とは不動心なり、是をたとえるに車の如く、又飛鳥の如く、業と理は兩輪兩翼の如く、心は車軸の如く、鳥躰の如く、業に達して理を知らざるは、車片輪なきが如く鳥片翼なきが如く、片輪なくんば行事叶はず、片翼なきときは鳥翔るヿ叶はず、業に達すとも勝負の理を不知しては勝とも眞の勝にはあらず相手弱也、
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『和俗童子訓』巻之四・手習法一字を学ぶには、必まづ真書を大文字に書習ふべし。内閣字府の七十二筆を先うつすべし。次に行書を習ふべし。凡字を書習ふには、真行草共に古人の能書を法とすべし。東坡が曰、真は行を生じ、行は草を生ず。真は人の立つが如く、行は人の行くが如く、草は人の走るが如し。いまだ立たずして、能く行き能く走る者はあらじと云へり。是を以て見るに、真は本なり、草は末なり。唐土には、まづ真書より学ばしむる故に、字画正しく誤なし。倭俗は真字を学ばざる故に、文字を知らず、字画に誤多し。真書を学ばざれば、草書にも誤多し。本邦近代の先輩、さばかり能書の名を得たる人多けれど、真書を学ばざるゆゑ、其筆跡、真草共に多くは誤字あり、証とするに足らず。
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『和俗童子訓』巻之四・手習法一筆を執るに、真書は軸を低く、草は高く取る。行は其間なり。真一行二草三といふ。一腕法三あり。枕腕あり、提腕あり、懸腕あり。枕腕は左の手を右の手の下に枕にさするなり。是小字を書く法なり。提腕は肘は机につけて、腕をあげて書くなり。是中字を書く法なり。懸腕は腕をあげて空中に書くなり。是大字を書く法なり。腕を下につくればはたらかず。是小字中字大字を書く三法なり。
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『兵法家伝書』殺人刀「習いて習いなきに至る」兵法の道是にて心得べし、百手の大方をならひつくし、身がまへ目付ありとあらゆる習を能々習ひつくして稽古するは致知のこゝろ也、さてよく習をつくせば、ならひの數々胸になく成りて、何心もなき所、格物之心也、様々の習を盡して習稽古の修行功つもりぬれば、手足身に所作はありて心になくなり、習ひをはなれて習にたがわず、何事もするわざ自由也、此時は我が心いづくにありともしれず、天魔外道も、我が心をうかゞひ得ざる也、此位にいたらん爲の習ひなり、得たれば又習はなく成也、是が諸道の極意向上也、ならひをわすれ心を捨きつて一向に我もしらずしてかなふ所が道の至極也、此一段は習より入てならひなきにいたる者也

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