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兵法家伝書 / 新陰流外物進履橋矢留

矢留の事 一 刀にて矢をとむる事。刀脇指をたてにつく也。所により弓もいられぬ物なり。それに付、射樣の習有之物也。何もたいがひは習にて仕ものなり。刀にては多勢ならず、しかしながら二人三人は仕樣有り。相手によりてならぬもの也。口傳。

新字:矢留の事 一 刀にて矢をとむる事。刀脇指をたてにつく也。所により弓もいられぬ物なり。それに付、射様の習有之物也。何もたいがひは習にて仕ものなり。刀にては多勢ならず、しかしながら二人三人は仕様有り。相手によりてならぬもの也。口伝。

書き下し

矢留の事 一 刀にて矢をとむる事。刀脇指をたてにつく也。所により弓もいられぬ物なり。それに付、射樣の習有之物也。何もたいがひは習にて仕ものなり。刀にては多勢ならず、しかしながら二人三人は仕樣有り。相手によりてならぬもの也。口傳。

現代語訳

矢留めのこと。一、刀で矢を止めること。刀・脇指を縦に突くのである。所によっては弓も射られないものである。それについて、射様の習いがあるものである。どれもたいがいは習いでするものである。刀では多勢はならないが、しかしながら二人三人は仕様がある。相手によってはならないものである。口伝。

解説

飛んでくる矢を刀で止める技を扱った、ごく短い段です。刀や脇指を縦に突いて矢を止めるといい、場所によっては弓そのものが射られないことも指摘します。矢を射る側にも射様の習いがあるので、こちらの止め方も習いで身につけるのだとし、多勢には通用しないが二人三人なら仕様があり、相手によってはならないと、限界を率直に示しています。最後は「口伝」と結び、詳しいことは文字に書かないという姿勢を保ちます。能力の適用範囲を過大にも過小にも語らない点が特徴です。現代の仕事でも、自分の対処法が通じる規模と通じない規模を見極めておくことは、無理な引き受けを避けるうえで大切です。守りの技にも、習いと限界の自覚が付いて回ります。

この章句が説くこと

矢留縦に突く限界習い多勢兵法家伝書

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