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墨子 / 尚同下

天子以其知力為未足獨治天下,是以選擇其次立為三公。三公又以其知力為未足獨左右天子也,是以分國建諸侯。諸侯又以其知力為未足獨治其四境之内也,是以選擇其次立為卿之宰。卿之宰又以其知力為未足獨左右其君也,是以選擇其次立而為鄉長家君。是故古者天子之立三公、諸侯、卿之宰、鄉長家君,非特富貴游佚而擇之也,將使助治亂刑政也。故古者建國設都,乃立后王君公,奉以卿士師長,此非欲用説也,唯辯而使助治天民也。

新字:天子以其知力為未足独治天下,是以選択其次立為三公。三公又以其知力為未足独左右天子也,是以分国建諸侯。諸侯又以其知力為未足独治其四境之内也,是以選択其次立為卿之宰。卿之宰又以其知力為未足独左右其君也,是以選択其次立而為郷長家君。是故古者天子之立三公、諸侯、卿之宰、郷長家君,非特富貴游佚而択之也,将使助治乱刑政也。故古者建国設都,乃立后王君公,奉以卿士師長,此非欲用説也,唯弁而使助治天民也。

書き下し

天子、其の知力を以て未だ獨り天下を治むるに足らずと為す。是を以て其の次を選擇し、立てて三公と為す。三公も又た其の知力を以て未だ獨り天子を左右するに足らずと為す。是を以て國を分かちて諸侯を建つ。諸侯も又た其の知力を以て未だ獨り其の四境の内を治むるに足らずと為す。是を以て其の次を選擇し、立てて卿の宰と為す。卿の宰も又た其の知力を以て未だ獨り其の君を左右するに足らずと為す。是を以て其の次を選擇し、立てて鄉長家君と為す。是の故に古者、天子の三公・諸侯・卿の宰・鄉長家君を立つるは、特に富貴游佚にして之を擇ぶに非ざるなり。將に亂を治め刑政するを助けしめんとするなり。故に古者、國を建て都を設け、乃ち后王君公を立て、奉ずるに卿士師長を以てするは、此れ説を用いんと欲するに非ず。唯だ辯じて天民を治むるを助けしむるなり。

現代語訳

天子は、自分の知力だけでは天下を治めきれないとした。だから次に優れた者を選び、立てて三公とした。三公もまた、自分の知力だけでは天子を補佐しきれないとした。だから国を分けて諸侯を建てた。諸侯もまた、自分の知力だけでは四方の境の内を治めきれないとした。だから次に優れた者を選び、立てて卿の宰とした。卿の宰もまた、自分の知力だけでは君を補佐しきれないとした。だから次に優れた者を選び、立てて郷長・家君とした。だから昔、天子が三公・諸侯・卿の宰・郷長・家君を立てたのは、彼らを富ませ貴くして遊ばせるために選んだのではない。乱れを治め刑政を助けさせるためである。だから昔、国を建て都を設け、王や君公を立て、卿士や師長を添えたのは、言説を弄するためではない。ただ弁別させて天の民を治めるのを助けさせるためである。

解説

階層が生まれる理由を、五段にわたって同じ言葉で繰り返します——「其知力為未足」、自分の知力では足りない。上に立つ者が自分の限界を認めた回数だけ、組織の段が増えていく。これは能力の欠如ではなく、扱う範囲に対する知力の有限性の話です。そして各段で選ばれるのは「其次」、次に優れた者。序列が能力の順に対応するという理想形が示されています。

この章句が説くこと

限界階層委譲選任知力

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