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兵法家伝書 / 跋殺人刀・活人劔の名

此卷上下を殺人刀活人劔と名たる心は、人をころす刀、却て人をいかすつるぎ也、とは夫亂たる世には、故なき者多く死するなり、亂たる世を治める爲に殺人刀を用ひ、已に治る時は殺人刀を卽て活人劔ならずや、是を以所名付也

新字:此巻上下を殺人刀活人剣と名たる心は、人をころす刀、却て人をいかすつるぎ也、とは夫乱たる世には、故なき者多く死するなり、乱たる世を治める為に殺人刀を用ひ、已に治る時は殺人刀を即て活人剣ならずや、是を以所名付也

書き下し

此卷上下を殺人刀活人劔と名たる心は、人をころす刀、却て人をいかすつるぎ也、とは夫亂たる世には、故なき者多く死するなり、亂たる世を治める爲に殺人刀を用ひ、已に治る時は殺人刀を卽て活人劔ならずや、是を以所名付也

現代語訳

この巻の上下を殺人刀・活人劔と名づけた心は、人を殺す刀が却って人を活かす剣になる、ということです。乱れた世には、罪のない者が多く死にます。乱れた世を治めるために殺人刀を用い、すでに治まったときには、その殺人刀がそのまま活人劔ではないでしょうか。これによって名づけたのです。

解説

二巻の題名の由来を、宗矩自身が説明する短い一段です。ここでの理屈は、乱世には罪なき者が多く死ぬので、その乱れを収めるために殺人刀を用い、世が治まれば同じ刀が人を活かす剣になる、というものです。力を使う目的が、秩序の回復に置かれている点が要になります。語の意味では、殺と活が別の道具ではなく、使う時と目的で入れ替わる一つのものだとされています。企業でいえば、危機の時に厳しく断を下す経営判断と、平時に人を育てる運営は、別の人格ではなく同じ力の使い分けです。厳しさそのものを良し悪しで切らず、何のための厳しさかを問う視点を与えてくれます。

この章句が説くこと

殺人刀活人剣乱世治世目的兵法家伝書

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