兵法家伝書 / 活人劔急々にかかる事
一 急々にかゝる事以て之外あしき事也、下作りによく持て、立あふてから、よく見すまして、後の急々懸々也、ふためかぬ事簡要也
書き下し
一 急々にかゝる事以て之外あしき事也、下作りによく持て、立あふてから、よく見すまして、後の急々懸々也、ふためかぬ事簡要也
現代語訳
一 急ぎ急ぎとかかることは、もってのほかに悪いことである。下作りをよく持って、立ち合ってから、よく見すまして、その後に急々、懸々とかかるのである。あわてないことが肝要である。
解説
この段は三十字足らずの短い箇条で、急いでかかることをもってのほかに悪いと断じます。急ぐこと自体を否定するのではなく、順序が問題だという点が要です。まず下作りをよく持ち、立ち合ってからよく見すまし、その後で初めて急々、懸々とかかります。あわてないことが簡要だという結びは、速さは落ち着きの結果として生まれると読めます。前の段の、心を先にやっておくという考えを受けた締めでもあります。現代の仕事でも、拙速な着手は手戻りを生み、準備と観察を済ませた後の速さだけが武器になります。経営者や管理職にとっては、決断の速さと、急いでいる自分を疑う冷静さを両立させることが課題でしょう。
この章句が説くこと
急々懸々下作り見すますあわてぬ兵法家伝書
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