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兵法家伝書 / 殺人刀風水の音上は靜に下は氣

一 風水の音をきく事 とにも角にも此道は表裏を本として、様々に序を切かけ、色をしかけて、敵に先手をさせて勝分別ばかり也、立あはぬさきは、敵は懸也と覺悟して、油斷すべからず、下作り專要也、敵懸なりともおもわずして、立相といなや、ほかと急々にきびしく、仕かけられてからは、我平生の習も何の手も出ざる者也、立相てからは、身心足をば懸に、手をば待にする事簡要也、有をよく心にかけて見るべし、有を手にとれと云ならひ是也、如何にもしづかに見ずば、太刀の習も用に立まじきなり、

新字:一 風水の音をきく事 とにも角にも此道は表裏を本として、様々に序を切かけ、色をしかけて、敵に先手をさせて勝分別ばかり也、立あはぬさきは、敵は懸也と覚悟して、油断すべからず、下作り専要也、敵懸なりともおもわずして、立相といなや、ほかと急々にきびしく、仕かけられてからは、我平生の習も何の手も出ざる者也、立相てからは、身心足をば懸に、手をば待にする事簡要也、有をよく心にかけて見るべし、有を手にとれと云ならひ是也、如何にもしづかに見ずば、太刀の習も用に立まじきなり、

書き下し

一 風水の音をきく事 とにも角にも此道は表裏を本として、様々に序を切かけ、色をしかけて、敵に先手をさせて勝分別ばかり也、立あはぬさきは、敵は懸也と覺悟して、油斷すべからず、下作り專要也、敵懸なりともおもわずして、立相といなや、ほかと急々にきびしく、仕かけられてからは、我平生の習も何の手も出ざる者也、立相てからは、身心足をば懸に、手をば待にする事簡要也、有をよく心にかけて見るべし、有を手にとれと云ならひ是也、如何にもしづかに見ずば、太刀の習も用に立まじきなり、

現代語訳

風水の音を聞くこと。とにもかくにも、この道は表裏を本として、さまざまに序を切りかけ、色を仕掛けて、敵に先手をさせて勝つ分別ばかりです。立ち合わない先は、敵は懸であると覚悟して、油断してはなりません。下作りが専要です。敵が懸だとも思わずにいて、立ち合うやいなや、不意に急にきびしく仕掛けられてからは、我が平生の習いも何の手も出ないものです。立ち合ってからは、身・心・足を懸に、手を待にすることが簡要です。有をよく心にかけて見なさい。有を手に取れという習いがこれです。いかにも静かに見なければ、太刀の習いも役に立たないでしょう。

解説

風水の音という標題のもとで、まず兵法全体の骨格を確認する段です。表裏を本にして仕掛け、敵に先手を取らせて勝つ分別が要で、立ち合う前から敵は懸だと覚悟して油断するな、と述べます。立ち合ってからは、身・心・足を懸に、手を待にするのが肝要です。有をよく見て手に取るという習いは、静かに見る心を前提にします。有の具体的な中身は原文にありません。下作り、つまり事前の備えが専要という一句は、現代の組織にもそのまま響きます。会議や交渉は始まった時点で勝負が決まりかけており、準備の厚みが対応の幅を決めます。慌てた場面ほど、普段の習いが出ないという指摘は、危機対応の訓練の必要を示します。

この章句が説くこと

風水の音下作り懸待備え静かに見る兵法家伝書

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