兵法家伝書 / 殺人刀大曲・残心・小太刀四ヶ条
一 大曲之事 付 序之切かけの事 口傳すべし 一 残心之事 懸待ともに用 口傳すべし 一 小太刀一尺五寸のはづしの事 一 かゝりの時懸待ある事 身を懸に、太刀は待に、心得べし 右いづれも師匠と立あひて習口傳せずば難成條々也、筆にはよくのべがたし
新字:一 大曲之事 付 序之切かけの事 口伝すべし 一 残心之事 懸待ともに用 口伝すべし 一 小太刀一尺五寸のはづしの事 一 かゝりの時懸待ある事 身を懸に、太刀は待に、心得べし 右いづれも師匠と立あひて習口伝せずば難成条々也、筆にはよくのべがたし
書き下し
一 大曲之事 付 序之切かけの事 口傳すべし 一 残心之事 懸待ともに用 口傳すべし 一 小太刀一尺五寸のはづしの事 一 かゝりの時懸待ある事 身を懸に、太刀は待に、心得べし 右いづれも師匠と立あひて習口傳せずば難成條々也、筆にはよくのべがたし
現代語訳
大曲のこと。付けたり、序の切りかけのこと。口伝すべきです。残心のこと。懸待ともに用います。口伝すべきです。小太刀一尺五寸の外しのこと。かかりの時に懸待があること。身を懸に、太刀を待にと心得るべきです。右はいずれも、師匠と立ち合って習い口伝しなければ難しい条々で、筆にはよく述べにくいのです。
解説
四つの条目を挙げ、口伝に委ねるとして終える短い目録の段です。大曲と序の切りかけ、残心、小太刀一尺五寸の外し、かかりの時の懸待が並び、残心は懸待のどちらにも用いるとあります。唯一具体的に書かれているのは、かかりの時に身を懸に、太刀を待に心得るという一句で、身と太刀で懸待を分けて持つ考えが示されます。条目の中身は原文にありません。宗矩があえて筆に書かない箇所を残したことは、型や知識が文書化だけでは伝わらず、直接の稽古を前提にしていたことを示します。現代の組織でも、手順書にできない勘所は、同じ場で動いてみせ、やらせてみることでしか渡せません。
この章句が説くこと
口伝残心懸待序の切りかけ師匠兵法家伝書
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