古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

群書治要 / 『群書治要』後漢書・私心はないかと問われて

或問倫曰:公有私乎。對曰:昔人有與吾千里馬者、吾雖不受、每三公有所選舉、心不能忘、而亦終不用也。吾兄子常病、一夜十往、退而安寢、吾子有疾、雖不省視、而竟夕不眠、若是者、豈謂無私乎。

新字:或問倫曰:公有私乎。対曰:昔人有与吾千里馬者、吾雖不受、毎三公有所選舉、心不能忘、而亦終不用也。吾兄子常病、一夜十往、退而安寝、吾子有疾、雖不省視、而竟夕不眠、若是者、豈謂無私乎。

書き下し

或るひと倫に問いて曰く、公は私有るか。対えて曰く、昔、人に吾に千里の馬を与うる者有り、吾受けずと雖も、三公の選挙する所有る毎に、心忘るる能わず、而れども亦た終に用いざるなり。吾が兄の子常に病めば、一夜に十たび往き、退きて安寝す。吾が子疾い有れば、省視せずと雖も、而も竟夕眠らず。是くの若き者は、豈に私無しと謂わんや。

現代語訳

ある人が第五倫に尋ねました。「あなたには私心がありますか。」倫は答えました。「昔、私に千里を走る名馬を贈ろうとした人がいました。受け取りはしませんでしたが、三公が人を選んで推挙するたびに、そのことが心から離れず、それでもけっきょくその人を用いることはありませんでした。兄の子が病気になったときは、一晩に十回も見舞いに行き、帰ればぐっすり眠ります。自分の子が病気のときは、見に行かなくても、夜どおり眠れません。こういう者が、どうして私心がないと言えるでしょうか。」

解説

第五倫は後漢の章帝のころに司空を務めた人で、公正で率直な官吏として知られます。この問答の値打ちは、私心はないと言い切らないところにあります。贈り物を断っても、その人のことが頭から離れない。我が子を案じる気持ちが、兄の子へのそれより強いことも偽らずに認めます。公正とは私情を持たないことではなく、持っている自分に気づいたうえで判断を縛ることだと読めます。評価や人事でも、好意や付き合いの記憶は必ず影響します。影響があると知ったうえで基準に立ち返れるかが、分かれ目になります。
『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。

本の中身を見る

この章句が説くこと

私心公平贈り物人事自己点検第五倫

関連する章句

本2冊(人生の方程式・人生の教科書)+師導1か月=700円本を見る