五行大義 / 第十九論治政
孝經援神契云。木氣生風。火氣生蝗。土氣生蟲。金氣生霜。水氣生雹。失政於木。則風來應。失政於火。則蝗來應。失政於土。則蟲來應。失政於金。則霜來應。失政於水。則雹來應。作傷致風。侵至致蝗。貪殘致蟲。刻毒致霜。暴虐致雹。此皆并隨類而致也。桓子新論曰。人抱天地之體。懷純粹之精。有生之最靈者也。是以貌動於木。言信於金。視明於火。聽聰於水。思睿於土。五行之用。動靜還與神通。貌恭則肅。肅時雨若。言從則乂。乂時暘若。視明則哲。哲時燠若。聽聰則謀。謀時寒若。心嚴則聖。聖時風若。金木水火。皆載於土。雨晹燠寒。皆發於風。貌言視聽。皆生於心。尸子云。心者。身之君。天子以天下受令於心。心不當。則天下禍。諸侯以國受令於心。心不當。則國亡。匹夫以身受令於心。心不當。則身戮。故人心者。乃天地之精。群生之本。故政之治亂。由於君之心也。是心。聖人受命而王。莫不承天地。法五行。脩五事。而御宇宙養蒼生者也。
新字:孝経援神契云。木気生風。火気生蝗。土気生虫。金気生霜。水気生雹。失政於木。則風来応。失政於火。則蝗来応。失政於土。則虫来応。失政於金。則霜来応。失政於水。則雹来応。作傷致風。侵至致蝗。貪残致虫。刻毒致霜。暴虐致雹。此皆并随類而致也。桓子新論曰。人抱天地之体。懐純粋之精。有生之最霊者也。是以貌動於木。言信於金。視明於火。聴聰於水。思睿於土。五行之用。動静還与神通。貌恭則粛。粛時雨若。言従則乂。乂時暘若。視明則哲。哲時燠若。聴聰則謀。謀時寒若。心厳則聖。聖時風若。金木水火。皆載於土。雨晹燠寒。皆発於風。貌言視聴。皆生於心。尸子云。心者。身之君。天子以天下受令於心。心不当。則天下禍。諸侯以国受令於心。心不当。則国亡。匹夫以身受令於心。心不当。則身戮。故人心者。乃天地之精。群生之本。故政之治乱。由於君之心也。是心。聖人受命而王。莫不承天地。法五行。脩五事。而御宇宙養蒼生者也。
書き下し
『孝経援神契』に云う、「木気は風を生じ、火気は蝗(こう)を生じ、土気は虫を生じ、金気は霜を生じ、水気は雹を生ず。政を木に失えば、則ち風来たりて応ず。政を火に失えば、則ち蝗来たりて応ず。政を土に失えば、則ち虫来たりて応ず。政を金に失えば、則ち霜来たりて応ず。政を水に失えば、則ち雹来たりて応ず。作傷は風を致し、侵至は蝗を致し、貪残は虫を致し、刻毒は霜を致し、暴虐は雹を致す」と。此れ皆並びに類に随いて致すなり。桓子『新論』に曰く、「人は天地の体を抱き、純粋の精を懐く、有生の最も霊なる者なり。是を以て貌は木に動き、言は金に信(まこと)あり、視は火に明らかに、聴は水に聡く、思は土に睿(えい)なり。五行の用、動静還りて神と通ず。貌恭しければ則ち粛、粛なれば時雨若(したが)う。言従えば則ち乂(がい)、乂なれば時暘(よう)若う。視明らかなれば則ち哲、哲なれば時燠若う。聴聡ければ則ち謀、謀あれば時寒若う。心厳なれば則ち聖、聖なれば時風若う。金木水火は、皆土に載り、雨暘燠寒は、皆風より発し、貌言視聴は、皆心より生ず」と。『尸子』に云う、「心は身の君なり。天子は天下を以て令を心に受く。心当たらざれば、則ち天下禍あり。諸侯は国を以て令を心に受く。心当たらざれば、則ち国亡ぶ。匹夫は身を以て令を心に受く。心当たらざれば、則ち身戮せらる」と。故に人の心は、乃ち天地の精、群生の本なり。故に政の治乱は、君の心に由るなり。是の心なり、聖人の命を受けて王たる、天地を承け、五行に法り、五事を脩めて、宇宙を御し蒼生を養わざる者は莫きなり。
現代語訳
『孝経援神契』はこう言う。「木の気は風を生み、火の気はイナゴを生み、土の気は虫を生み、金の気は霜を生み、水の気は雹を生む。木に関わる政治を誤れば風がやって来て応じる。火に関わる政治を誤ればイナゴがやって来て応じる。土に関わる政治を誤れば虫がやって来て応じる。金に関わる政治を誤れば霜がやって来て応じる。水に関わる政治を誤れば雹がやって来て応じる。物を作って損なえば風を招き、侵し奪えばイナゴを招き、むさぼり残虐であれば虫を招き、苛酷で毒々しければ霜を招き、乱暴で虐げれば雹を招く」。これらはみな、それぞれの類に従って招き寄せるのである。桓譚(後漢初めの学者)の『新論』はこう言う。「人は天地の体を抱き、純粋な精を懐いており、生あるもののうちで最も霊妙なものである。だから、容貌は木とともに動き、言葉は金とともに信があり、見ることは火とともに明らかであり、聴くことは水とともに聡く、思うことは土とともに深く通じる。五行のはたらきは、動くにも静まるにも、めぐって神妙なものと通じている。容貌がうやうやしければ粛(おごそか)となり、粛であれば時にかなった雨が従う。言葉が道理に従えば乂(おさまる)となり、乂であれば時にかなった晴れが従う。見ることが明らかであれば哲(かしこい)となり、哲であれば時にかなった暑さが従う。聴くことが聡ければ謀(よいはかりごと)となり、謀があれば時にかなった寒さが従う。心がおごそかであれば聖となり、聖であれば時にかなった風が従う。金・木・水・火はみな土の上にあり、雨・晴れ・暑さ・寒さはみな風から起こり、容貌・言葉・見ること・聴くことはみな心から生まれる」。『尸子』(戦国時代の尸佼の著とされる)はこう言う。「心は身の君主である。天子は天下のために心から命令を受ける。心が正しくなければ天下に災いが起こる。諸侯は国のために心から命令を受ける。心が正しくなければ国が滅ぶ。一介の男は自分の身のために心から命令を受ける。心が正しくなければ身が刑に処される」。だから人の心こそが天地の精であり、あらゆる生き物の根本である。したがって政治が治まるか乱れるかは、君主の心による。この心によってこそ、聖人が天命を受けて王となるとき、天地を受け継ぎ、五行にのっとり、五事を修めて、天下を治め人々を養わない者はないのである。
解説
この章句が説くこと
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