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五行大義 / 第十九論治政

傷。故爲變。金用事。脩城郭。繕牆垣。審辟禁。飭甲兵。警百官。誅不法。此竝順金以威嚴肅殺之氣也。無焚金石。則白虎見。虎是金獸。喜故出也。若人君貪賂。好用兵。則民人病咳嗽。筋牽鼻塞。鼻主肺。肺病。故咳嗽而鼻塞。此并金爲疾也。毛蟲金石爲怪。金氣傷。故爲變怪也。水用事。閉閭門。執當罪。飭關梁。此并順水閉藏之義。無決池堰。恐水氣泄溢也。如此則醴泉出。恩及禽蟲。則靈龜見。書云。澤及昆蟲者也。甲蟲屬水。喜故見也。若人君廢祭祀。簡宗廟。執法不順。逆天氣。則民病流腫。水脹。痿痺。孔竅不通。此并水氣壅結之義。賢人以水居太陰之位。陰闇虛空。比之宗廟。人死精氣散越。立宗廟以收之。堂宇虛寂。陰暗無人。喻之水也。廢於祭祀。則失孝道。故太陰之氣感而病人。爲此疾也。水爲災害。靈龜深藏。鬼哭。介蟲爲怪。介蟲屬水。氣傷。故爲覆藏而不見也。宗廟不祀。魂氣傷怨。故鬼哭也。

新字:傷。故為変。金用事。脩城郭。繕牆垣。審辟禁。飭甲兵。警百官。誅不法。此並順金以威厳粛殺之気也。無焚金石。則白虎見。虎是金獣。喜故出也。若人君貪賂。好用兵。則民人病咳嗽。筋牽鼻塞。鼻主肺。肺病。故咳嗽而鼻塞。此并金為疾也。毛虫金石為怪。金気傷。故為変怪也。水用事。閉閭門。執当罪。飭関梁。此并順水閉蔵之義。無決池堰。恐水気泄溢也。如此則醴泉出。恩及禽虫。則霊亀見。書云。沢及昆虫者也。甲虫属水。喜故見也。若人君廃祭祀。簡宗廟。執法不順。逆天気。則民病流腫。水脹。痿痺。孔竅不通。此并水気壅結之義。賢人以水居太陰之位。陰闇虚空。比之宗廟。人死精気散越。立宗廟以収之。堂宇虚寂。陰暗無人。喩之水也。廃於祭祀。則失孝道。故太陰之気感而病人。為此疾也。水為災害。霊亀深蔵。鬼哭。介虫為怪。介虫属水。気傷。故為覆蔵而不見也。宗廟不祀。魂気傷怨。故鬼哭也。

書き下し

傷る、故に変を為す。金事を用うれば、城郭を脩め、牆垣(しょうえん)を繕い、辟禁を審らかにし、甲兵を飭(ととの)え、百官を警め、不法を誅す。此れ並びに金に順いて威厳粛殺の気を以てするなり。金石を焚くこと無ければ、則ち白虎見わる。虎は是れ金の獣なり、喜ぶ故に出づるなり。若し人君賂(まいない)を貪り、兵を用うることを好めば、則ち民人は咳嗽(がいそう)を病み、筋牽(ひ)き鼻塞がる。鼻は肺を主る。肺病む、故に咳嗽して鼻塞がる。此れ並びに金の疾を為すなり。毛虫・金石怪を為す。金気傷る、故に変怪を為すなり。水事を用うれば、閭門(りょもん)を閉じ、当罪を執え、関梁を飭う。此れ並びに水の閉蔵の義に順う。池堰を決すること無かれ、水気の泄溢を恐るるなり。此くの如くすれば則ち醴泉(れいせん)出づ。恩禽虫に及べば、則ち霊亀見わる。『書』に云う、「沢昆虫に及ぶ」者なり。甲虫は水に属す、喜ぶ故に見わるなり。若し人君祭祀を廃し、宗廟を簡(おろそ)かにし、法を執ること順わず、天気に逆らえば、則ち民は流腫・水脹・痿痺(いひ)を病み、孔竅(こうきょう)通ぜず。此れ並びに水気壅結の義なり。賢人は水の太陰の位に居るを以て、陰闇虚空なる、これを宗廟に比す。人死すれば精気散越す、宗廟を立てて以てこれを収む。堂宇虚寂にして、陰暗く人無し、これを水に喩うるなり。祭祀を廃すれば、則ち孝道を失う、故に太陰の気感じて人を病ましめ、此の疾を為すなり。水災害を為し、霊亀深く蔵れ、鬼哭し、介虫怪を為す。介虫は水に属す、気傷る、故に覆蔵して見えざるを為すなり。宗廟祀らざれば、魂気傷み怨む、故に鬼哭するなり。

現代語訳

(土の気が)損なわれるので異変をなすのである。金がはたらく時期には、城郭を修理し、垣根を繕い、禁令を明らかにし、よろいと武器を整え、役人たちを戒め、法に背く者を罰する。これらはみな金に従い、威厳のある粛然とした殺の気によって行うことである。金属や石を焼かなければ、白虎が現れる。虎は金の獣であり、喜んで姿を現すのである。もし君主が賄賂をむさぼり、戦を好めば、民は咳を病み、筋がひきつり鼻がつまる。鼻は肺をつかさどる。肺が病むので、咳が出て鼻がつまるのである。これらはみな金が病をなすものである。毛のある獣や金属・石が怪異をなす。金の気が損なわれるので怪異となるのである。水がはたらく時期には、村の門を閉じ、罪ある者を捕らえ、関所と橋を整える。これらはみな水の、閉じて蓄えるという意味に従うことである。池や堰を切ってはならない。水の気が漏れあふれるのをおそれるのである。このようにすれば甘い泉が湧き出る。恩恵が鳥や虫にまで及べば、霊妙な亀が現れる。『尚書』に「恵みが虫にまで及ぶ」とあるのがこれである。甲羅をもつ生き物は水に属し、喜んで現れるのである。もし君主が祭祀をやめ、祖先の廟をおろそかにし、法の執行が道理に従わず、天の気に逆らえば、民はむくみ、水ぶくれ、手足のしびれや麻痺を病み、体の穴が通じなくなる。これらはみな水の気がふさがり滞るという意味である。賢者は、水が太陰(陰のきわみ)の位置にあり、暗くがらんとしていることを宗廟になぞらえる。人が死ぬと精気は散り散りになるので、宗廟を建ててこれをおさめる。堂はがらんとして静まり、暗く人もいない。これを水にたとえるのである。祭祀をやめれば孝の道を失う。だから太陰の気が感応して人を病ませ、このような病気を起こすのである。水が災害を起こし、霊妙な亀は深く隠れ、死者の霊が泣き、甲羅をもつ生き物が怪異をなす。甲羅をもつ生き物は水に属し、その気が損なわれるので、身を隠して姿を見せないのである。宗廟を祭らなければ、死者の魂が傷つき怨むので、霊が泣くのである。

解説

前の段に続き、金と水の時期の政治と、その報いと災いを述べる段である。金の時期は秋で、城を修め、武器を整え、法に背く者を罰する、引き締めの季節とされる。ここで君主が賄賂をむさぼり戦を好めば、肺を病み咳や鼻づまりが起こるという。肺を金に、鼻を肺に配するのは中国医学の五行配当と一致する。水の時期は冬で、門を閉じ、関所を整え、池や堰を切らないという、閉じて蓄える政治が求められる。祭祀を怠れば、むくみや麻痺といった水の病が起こり、死者の霊が泣くという。ここで宗廟を水にたとえる説明が興味深い。暗く静まった祖先の廟を太陰の水になぞらえ、祭祀を失えば孝の道が失われ、陰の気が人を病ませると説く。祖先祭祀を政治の根幹とする儒教の考えが、五行の体系の中にしっかり組み込まれているのがわかる。季節ごとに求められる振る舞いを定め、それを怠ったときの結果を具体的に示すことで、為政者を戒めようとした文章である。

この章句が説くこと

五行大義治政宗廟金水

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