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五行大義 / 第十七論八卦八風

以日在西。故曰天兌。貌順木得。則天兌爲和。貌失木逆。則天兌爲害。而常雨爲罰。兌主秋分霜降。霜降得天震之動氣。則天下霜。萬物死。震者。東方之卦。是時。日在房。房。東方之宿。以日在東。故曰天震。言順金得。則天震爲和。言失金逆。則天震爲害。而旱罰。所以貌雨言旱者。震陽兌陰。陽旱陰雨也。木之所以雨。金之所以旱者。其人事貌失。則下怨。陰盛故雨。言失則失衆。孤陽獨立。群陰不附。故旱。春秋二時。震兌相臨。天地氣和。所以不極寒熱也。坎主冬至大寒。大寒得天坎之氣。則天下大寒。是時。日在虛。虛。北方之宿。故曰天坎。聽順水得。則天坎爲和。聽失水逆。則天坎爲罰。故常寒。離主夏至大熱。大熱發長。復得天離之氣。則天下大熱。萬事畢出。是時。日在七星。七星。南方七宿。故曰天離。視順火得。則天離爲和。視失火逆。則天離爲罰。故常燠。冬夏二時。天地氣併。坎離各當其方。所以極寒熱也。

新字:以日在西。故曰天兌。貌順木得。則天兌為和。貌失木逆。則天兌為害。而常雨為罰。兌主秋分霜降。霜降得天震之動気。則天下霜。万物死。震者。東方之卦。是時。日在房。房。東方之宿。以日在東。故曰天震。言順金得。則天震為和。言失金逆。則天震為害。而旱罰。所以貌雨言旱者。震陽兌陰。陽旱陰雨也。木之所以雨。金之所以旱者。其人事貌失。則下怨。陰盛故雨。言失則失衆。孤陽独立。群陰不附。故旱。春秋二時。震兌相臨。天地気和。所以不極寒熱也。坎主冬至大寒。大寒得天坎之気。則天下大寒。是時。日在虚。虚。北方之宿。故曰天坎。聴順水得。則天坎為和。聴失水逆。則天坎為罰。故常寒。離主夏至大熱。大熱発長。復得天離之気。則天下大熱。万事畢出。是時。日在七星。七星。南方七宿。故曰天離。視順火得。則天離為和。視失火逆。則天離為罰。故常燠。冬夏二時。天地気併。坎離各当其方。所以極寒熱也。

書き下し

日の西に在るを以て、故に天兌と曰う。貌(ぼう)順いて木得れば、則ち天兌和と為る。貌失いて木逆らえば、則ち天兌害と為りて、常雨を罰と為す。兌は秋分・霜降を主る。霜降に天震の動気を得れば、則ち天下に霜ふりて、万物死す。震は東方の卦なり。是の時、日は房に在り。房は東方の宿なり。日の東に在るを以て、故に天震と曰う。言順いて金得れば、則ち天震和と為る。言失いて金逆らえば、則ち天震害と為りて、旱(ひでり)を罰とす」と。貌に雨、言に旱とする所以は、震は陽、兌は陰にして、陽は旱、陰は雨なればなり。木の雨ある所以、金の旱ある所以は、その人事の貌失えば、則ち下怨み、陰盛んなる故に雨ふる。言失えば則ち衆を失い、孤陽独り立ちて、群陰附かず、故に旱す。春秋の二時は、震・兌相臨み、天地の気和す、寒熱を極めざる所以なり。坎は冬至・大寒を主る。大寒に天坎の気を得れば、則ち天下大いに寒し。是の時、日は虚に在り。虚は北方の宿なり、故に天坎と曰う。聴順いて水得れば、則ち天坎和と為る。聴失いて水逆らえば、則ち天坎罰と為る、故に常に寒し。離は夏至・大熱を主る。大熱発長して、復た天離の気を得れば、則ち天下大いに熱く、万事畢く出づ。是の時、日は七星に在り。七星は南方の七宿なり、故に天離と曰う。視順いて火得れば、則ち天離和と為る。視失いて火逆らえば、則ち天離罰と為る、故に常に燠(あたた)かし。冬夏の二時は、天地の気併さり、坎・離各々その方に当たる、寒熱を極むる所以なり。

現代語訳

日が西の宿にあるので天兌という。君主の容貌(貌)が正しく、木の気がそのあるべき状態を得ていれば、天兌は和やかさをもたらす。容貌が正しさを失い、木の気が逆らえば、天兌は害となり、長雨が罰として降る。兌は秋分と霜降をつかさどる。霜降のころに天震の動く気を得れば、天下に霜が降り、万物は枯れ死ぬ。震は東方の卦である。この時期、日は房の宿にある。房は東方の宿である。日が東の宿にあるので天震という。君主の言葉(言)が正しく、金の気がそのあるべき状態を得ていれば、天震は和やかさをもたらす。言葉が正しさを失い、金の気が逆らえば、天震は害となり、日照りが罰として起こる」。容貌の失いには雨、言葉の失いには日照りが応じる理由は、震は陽、兌は陰であり、陽は日照り、陰は雨だからである。木の失いに雨が、金の失いに日照りが応じる理由は、人の事でいえば、容貌が正しさを失えば下の者が怨み、陰が盛んになるので雨が降る。言葉が正しさを失えば民衆の支持を失い、陽がただ一つ孤立して多くの陰がつき従わないので、日照りになるのである。春と秋の二つの季節は、震と兌が互いに向かい合い、天地の気が和やかなので、寒さも暑さもきわまらない。坎は冬至と大寒をつかさどる。大寒のころに天坎の気を得れば、天下はたいへん寒くなる。この時期、日は虚の宿にある。虚は北方の宿であるから天坎という。君主が人の言葉をよく聴き(聴)、水の気がそのあるべき状態を得ていれば、天坎は和やかさをもたらす。聴くことを誤り、水の気が逆らえば、天坎は罰となり、いつまでも寒い。離は夏至と大暑をつかさどる。大暑で万物が伸び育つところに、さらに天離の気を得れば、天下はたいへん暑くなり、あらゆるものがことごとく現れ出る。この時期、日は七星の宿にある。七星は南方の七宿であるから天離という。君主がものをよく見(視)、火の気がそのあるべき状態を得ていれば、天離は和やかさをもたらす。見ることを誤り、火の気が逆らえば、天離は罰となり、いつまでも暑い。冬と夏の二つの季節は、天地の気が一方に偏り重なり、坎と離がそれぞれ本来の方角に当たるので、寒さと暑さがきわまるのである。

解説

八卦と季節の話に、『尚書』洪範の「五事」を重ねる段である。五事とは君主の貌(容貌・ふるまい)・言(言葉)・視(見ること)・聴(聴くこと)・思(思慮)で、洪範ではそれぞれが正しければ時にかなった雨・晴れ・暑さ・寒さ・風が来て、誤れば長雨・日照り・長い暑さ・長い寒さ・長い風が罰として来るとされる。ここではその対応を八卦に結びつけ、春分の震と秋分の兌が互いに相手の方角の気を受ける「天兌」「天震」という考えで説明する。容貌を誤ると下が怨んで陰が盛んになり雨となる、言葉を誤ると人心を失い陽が孤立して日照りとなる、という理屈は、自然現象を人間関係の比喩で解いたものである。春と秋は震と兌が向き合って気が和らぐので寒暑がきわまらず、冬と夏は坎と離がそれぞれの方角にあって気が偏るので寒暑がきわまる、という説明は、季節の実感とよく合っている。君主のふるまいが天候に響くという考えは今では受け入れにくいが、上に立つ者の言葉やふるまいが周りの「空気」を左右するという点は、今の組織にもそのまま当てはまる。

この章句が説くこと

五行大義五事洪範天兌天震

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