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五行大義 / 第十四論雑配・第三論配気味

天官云。凡和。春多酸。夏多苦。秋多辛。冬多醎。調以滑甘。解有兩家。一云。宜從時氣。春食須多酸。夏食須多苦。一云。多者。過也。春食過酸。宜減其醎味。夏食過苦。宜減其酸味。是以後句云。調以滑甘。今依前解。四時之味。各隨時氣所當。故逐時醎苦酸辛。養體之宜。土既居中。總戴四財。是以四時味兼。須甘味以調之。又云。會膳食之所宜。牛宜稌。稌稻也。羊宜黍。豕宜稷。犬宜粱。鳥宜麥。魚宜菰。菰。彫胡也。凡君子之食。恒放焉。凡藥。酸養骨。苦養氣。甘養肉。辛養筋。醎養脈。此竝相扶之義。河圖云。人食無極醎。使腎氣盛。心氣衰。令人發狂。喜衂。吐血。心神不定。無極辛。使肺氣盛。肝氣衰。令人懦怯悲愁。目盲。髮白。無極甘。使脾氣盛。腎氣衰。令人癡淫泄精。腰背痛。利膿血。無極苦。使心氣盛。肺氣衰。令人果敢輕死。欬逆。胸滿。無極酸。使肝氣盛。脾氣衰。令人穀不消化。喑聾癥固。此五藏相制剋之義。黃帝養生經云。

新字:天官云。凡和。春多酸。夏多苦。秋多辛。冬多醎。調以滑甘。解有両家。一云。宜従時気。春食須多酸。夏食須多苦。一云。多者。過也。春食過酸。宜減其醎味。夏食過苦。宜減其酸味。是以後句云。調以滑甘。今依前解。四時之味。各随時気所当。故逐時醎苦酸辛。養体之宜。土既居中。総戴四財。是以四時味兼。須甘味以調之。又云。会膳食之所宜。牛宜稌。稌稲也。羊宜黍。豕宜稷。犬宜粱。鳥宜麦。魚宜菰。菰。彫胡也。凡君子之食。恒放焉。凡薬。酸養骨。苦養気。甘養肉。辛養筋。醎養脈。此並相扶之義。河図云。人食無極醎。使腎気盛。心気衰。令人発狂。喜衂。吐血。心神不定。無極辛。使肺気盛。肝気衰。令人懦怯悲愁。目盲。髪白。無極甘。使脾気盛。腎気衰。令人痴淫泄精。腰背痛。利膿血。無極苦。使心気盛。肺気衰。令人果敢軽死。欬逆。胸満。無極酸。使肝気盛。脾気衰。令人穀不消化。喑聾癥固。此五蔵相制剋之義。黄帝養生経云。

書き下し

天官に云う、凡そ和は、春は酸を多くし、夏は苦を多くし、秋は辛を多くし、冬は醎を多くし、調うるに滑甘を以てす、と。解に両家有り。一に云う、宜しく時気に従うべし。春の食は須く酸を多くすべく、夏の食は須く苦を多くすべし、と。一に云う、多とは過なり。春の食は酸に過ぐ、宜しく其の醎味を減ずべし。夏の食は苦に過ぐ、宜しく其の酸味を減ずべし、と。是を以て後の句に云う、調うるに滑甘を以てす、と。今前の解に依る。四時の味は、各々時気の当たる所に随う。故に時を逐いて醎苦酸辛、体を養うの宜しきなり。土は既に中に居り、総べて四財を戴く。是を以て四時の味兼ね、須く甘味以て之を調うべし。又云う、膳食の宜しき所を会(あわ)す。牛は稌(と)に宜し、稌は稲なり。羊は黍に宜し、豕は稷に宜し、犬は梁に宜し、鳥は麦に宜し、魚は菰(こ)に宜し。菰は彫胡(ちょうこ)なり。凡そ君子の食は、恒に焉(これ)に放(なら)う、と。凡そ薬は、酸は骨を養い、苦は気を養い、甘は肉を養い、辛は筋を養い、醎は脈を養う、と。此れ並びに相扶の義なり。河図に云う、人の食、醎を極むること無かれ。腎気をして盛んならしめ、心気衰え、人をして狂を発し、喜(しばしば)衂(じく)し、吐血し、心神定まらざらしむ。辛を極むること無かれ。肺気をして盛んならしめ、肝気衰え、人をして懦怯(だきょう)悲愁し、目盲い、髪白からしむ。甘を極むること無かれ。脾気をして盛んならしめ、腎気衰え、人をして癡淫(ちいん)泄精し、腰背痛み、膿血を利せしむ。苦を極むること無かれ。心気をして盛んならしめ、肺気衰え、人をして果敢にして死を軽んじ、欬逆(がいぎゃく)し、胸満たしむ。酸を極むること無かれ。肝気をして盛んならしめ、脾気衰え、人をして穀消化せず、喑聾(いんろう)癥固(ちょうこ)ならしむ、と。此れ五蔵の相制剋するの義なり。黄帝養生経に云う、

現代語訳

天官篇には「およそ味つけは、春は酸味を多くし、夏は苦味を多くし、秋は辛味を多くし、冬は塩味を多くし、なめらかさと甘みで調える」とある。この解釈には二つの説がある。一つは「その時の気に従うのがよい。春の食事は酸味を多くし、夏の食事は苦味を多くすべきである」という説である。もう一つは「多とは過ぎることである。春の食事は酸味が過ぎやすいので、その塩味を減らすべきである。夏の食事は苦味が過ぎやすいので、その酸味を減らすべきである」という説で、だから後の句に「なめらかさと甘みで調える」とあるのだという。いまは前の説に従う。四季の味は、それぞれその時の気にかなうものに従う。だから季節を追って塩味・苦味・酸味・辛味をとるのが、体を養うのにふさわしいのである。土は中央にいて、ほかの四つをすべて載せている。だから四季の味を兼ねており、甘味でそれを調えなければならない。また「料理の食材の組み合わせのよろしさを合わせる。牛肉は稌に合う。稌とは稲である。羊肉は黍に合い、豚肉は稷に合い、犬の肉は粱(おおあわ)に合い、鳥肉は麦に合い、魚は菰に合う。菰とは彫胡(まこもの実)である。およそ君子の食事は、いつもこれにならう」ともある。また「およそ薬は、酸味は骨を養い、苦味は気を養い、甘味は肉を養い、辛味は筋を養い、塩味は脈を養う」とある。これらはみな互いに助け合う(相扶の)意味である。『河図』には次のようにある。「人の食事では、塩味をとりすぎてはならない。腎の気が盛んになって心の気が衰え、人を狂わせ、たびたび鼻血を出させ、血を吐かせ、心を落ち着かなくさせる。辛味をとりすぎてはならない。肺の気が盛んになって肝の気が衰え、人を臆病にして悲しみ愁えさせ、目を見えなくし、髪を白くさせる。甘味をとりすぎてはならない。脾の気が盛んになって腎の気が衰え、人を愚かにしてみだらにし、精をもらし、腰や背を痛め、膿や血を下させる。苦味をとりすぎてはならない。心の気が盛んになって肺の気が衰え、人を向こう見ずにして死を軽んじさせ、咳き込ませ、胸をつかえさせる。酸味をとりすぎてはならない。肝の気が盛んになって脾の気が衰え、人に穀物を消化できなくさせ、口がきけず耳が聞こえず、腹にしこりを生じさせる」。これは五臓が互いに制し剋し合うという意味である。『黄帝養生経』には次のようにある。

解説

『周礼』天官の食医の職にある、季節ごとの味つけの規定とその解釈を論じる部分である。春は酸、夏は苦、秋は辛、冬は鹹を多くし、甘と滑らかさで調える、という規定に対し、季節の気に従って多くとるという説と、その季節に過ぎやすい味を減らすという説の二つを並べ、著者は前者をとる。甘が四季の味を調えるのは、中央の土が四方を載せるのと同じだという説明は、土を要とするこの書の一貫した考え方である。続く食材の組み合わせや薬の味の記述も『周礼』に見える。最後に引く『河図』は、ある味をとりすぎると、その味に対応する臓の気が盛んになりすぎて、相剋の相手の臓を弱らせると説く。塩辛い物のとりすぎで腎が盛んになり心が衰える、というように、五味・五臓・相剋を組み合わせた病理の説明である。偏った食事が体の釣り合いを崩すという警告は、表現こそ古いが、塩分や糖分のとりすぎを戒める今の栄養の考え方と方向を同じくしている。

この章句が説くこと

五行大義五味周礼五臓食医

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