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五行大義 / 第二弁体性

故曰稼穡。土居中。以主四季。成四時。中央。爲內事宮室夫婦親屬之象。古者天子至於士人。宮室寢處。皆有高卑節度。與其過也。寧儉。禹卑宮室。孔子善之。后夫人左右妾媵有差。九族有序。骨肉有恩。爲百姓之所軌則也。如此順中和之氣。則土得其性。得其性。則百穀實而稼穡成。如人君縱意廣宮室臺榭。鏤雕五色。罷盡人力。親疎無別。妻妾過度。則土失其性。土失其性。則氣亂。稼穡不成。故五穀不登。風霧爲害。故曰土不稼穡。金曰從革。從革者。革。更也。從範而更。形革成器也。西方物既成。殺氣之盛。故秋氣起而鷹隼擊。春氣動而鷹隼化。此殺生之二端。是以白露爲霜。霜者。殺伐之表。王者教兵。集戎事以誅不義。禁暴亂以安百姓。古之人君。安不忘危。以戒不虞。故曰。天下雖安。忘戰者危。國邑雖強。好戰必亡。殺伐必應義。應義則金氣順。金氣順則如其性。如其性者。工冶鑄作。革形成器。如人君樂侵凌。好攻戰。貪色賂。輕百姓之命。人民騷動。則金失其性。冶鑄不化。凝滯渠堅。不成者衆。秋時萬物皆熟。百穀已熟。若逆金氣。則萬物不成。故曰金不從革。水曰潤下。潤下者。水流濕。就汙下也。

新字:故曰稼穡。土居中。以主四季。成四時。中央。為内事宮室夫婦親属之象。古者天子至於士人。宮室寝処。皆有高卑節度。与其過也。寧倹。禹卑宮室。孔子善之。后夫人左右妾媵有差。九族有序。骨肉有恩。為百姓之所軌則也。如此順中和之気。則土得其性。得其性。則百穀実而稼穡成。如人君縦意広宮室台榭。鏤雕五色。罷尽人力。親疎無別。妻妾過度。則土失其性。土失其性。則気乱。稼穡不成。故五穀不登。風霧為害。故曰土不稼穡。金曰従革。従革者。革。更也。従範而更。形革成器也。西方物既成。殺気之盛。故秋気起而鷹隼撃。春気動而鷹隼化。此殺生之二端。是以白露為霜。霜者。殺伐之表。王者教兵。集戎事以誅不義。禁暴乱以安百姓。古之人君。安不忘危。以戒不虞。故曰。天下雖安。忘戦者危。国邑雖強。好戦必亡。殺伐必応義。応義則金気順。金気順則如其性。如其性者。工冶鋳作。革形成器。如人君楽侵凌。好攻戦。貪色賂。軽百姓之命。人民騷動。則金失其性。冶鋳不化。凝滞渠堅。不成者衆。秋時万物皆熟。百穀已熟。若逆金気。則万物不成。故曰金不従革。水曰潤下。潤下者。水流湿。就汚下也。

書き下し

故に稼穡と曰う。土は中に居り、以て四季を主(つかさど)り、四時を成す。中央は、内事・宮室・夫婦・親属の象たり。古者、天子より士人に至るまで、宮室寝処、皆高卑節度有り。其の過ぎんよりは、寧ろ倹なれ。禹は宮室を卑くし、孔子之を善しとす。后・夫人・左右の妾媵(しょうよう)差有り、九族序有り、骨肉恩有りて、百姓の軌則とする所と為るなり。此の如く中和の気に順えば、則ち土其の性を得。其の性を得れば、則ち百穀実りて稼穡成る。如し人君意を縦(ほしいまま)にして宮室台榭を広くし、五色に鏤彫し、人力を罷(つか)らせ尽くし、親疎別無く、妻妾度を過ぐれば、則ち土其の性を失う。土其の性を失えば、則ち気乱れ、稼穡成らず。故に五穀登らず、風霧害を為す。故に土は稼穡せずと曰う。金を従革と曰う。従革とは、革は更なり。範に従いて更(あらた)め、形革まりて器を成すなり。西方は物既に成り、殺気の盛んなる所なり。故に秋気起こりて鷹隼(ようしゅん)撃ち、春気動きて鷹隼化す。此れ殺生の二端なり。是を以て白露霜と為る。霜は殺伐の表なり。王者は兵を教え、戎事を集めて以て不義を誅し、暴乱を禁じて以て百姓を安んず。古の人君は、安けれども危うきを忘れず、以て不虞を戒む。故に曰く、「天下安しと雖も、戦を忘るる者は危うく、国邑強しと雖も、盒摒(好戦)は必ず亡ぶ」と。殺伐は必ず義に応ず。義に応ずれば則ち金気順う。金気順えば則ち其の性の如し。其の性の如くなるとは、工冶鋳作し、形を革めて器を成す。如し人君侵凌を楽しみ、攻戦を好み、色賂を貪り、百姓の命を軽んじ、人民騒動すれば、則ち金其の性を失い、冶鋳化せず、凝滞して渠堅(きょけん)、成らざる者衆し。秋の時、万物皆熟し、百穀已に熟す。若し金気に逆らえば、則ち万物成らず。故に金は従革せずと曰う。水を潤下と曰う。潤下とは、水は湿に流れ、汚下に就くなり。

現代語訳

だから稼穡というのである。土は中央にいて四季の終わりをつかさどり、四季を成り立たせる。中央は、家の内のこと、宮殿や住まい、夫婦、親族の象である。昔は天子から士に至るまで、宮殿や住居の寝所にはみな高さや大きさの決まりがあった。度を越すよりは、むしろ質素であれ。禹は宮殿を低く質素にし、孔子はこれを称えた。皇后・夫人・側近の妾たちには序列の差があり、九族(高祖から玄孫までの一族)には順序があり、身内には恩愛があって、人々の手本となったのである。このように中正と調和の気に従えば、土はその本性を得る。本性を得れば、あらゆる穀物が実って、種まきと取り入れがうまくいく。もし君主が思うままに宮殿や高殿を広げ、五色の彫刻をほどこし、民の労力を使い果たし、親しい者と疎い者の区別をなくし、妻妾が度を越せば、土はその本性を失う。土が本性を失えば気が乱れ、種まきと取り入れがうまくいかない。そのため五穀が実らず、風や霧が害をなす。だから「土が稼穡しない」というのである。金を従革という。従革の革とは更(あらためる)である。型に従って改まり、形が変わって器となるのである。西方は物がすでに成熟し、殺の気が盛んな所である。だから秋の気が起こると鷹や隼が獲物を襲い、春の気が動くと鷹や隼は(おとなしい鳩に)化す。これが殺すことと生かすことの二つの端である。そこで白露が霜となる。霜は殺伐の表れである。王者は兵を訓練し、軍事を整えて不義の者を討ち、暴乱を禁じて人々を安んじる。昔の君主は、安らかな時にも危うさを忘れず、思いがけない事態に備えた。だから「天下が安らかでも、戦いを忘れる者は危うく、国が強くても、戦いを好む者は必ず滅びる」という。殺伐は必ず義にかなっていなければならない。義にかなえば金の気は順調である。金の気が順調であれば、その本性のとおりになる。本性のとおりになるとは、職人が金属を溶かして鋳造し、形を改めて器を作ることである。もし君主が他国を侵すことを楽しみ、戦争を好み、女色や賄賂をむさぼり、人々の命を軽んじて民が騒ぎ乱れれば、金はその本性を失い、溶かして鋳ても思うように変わらず、固まって大きく硬くなり、器にならないものが多い。秋には万物がみな熟し、あらゆる穀物がすでに実っている。もし金の気に逆らえば、万物は成熟しない。だから「金が従革しない」というのである。水を潤下という。潤下とは、水が湿った所へ流れ、低く窪んだ所へ向かうことである。

解説

前段に続き、土と金について、君主の行いと五行の働きとの対応を説く。土は中央にあって家の内、宮殿、夫婦、親族を象り、君主が宮殿を質素にし、后妃や一族の序列を正せば土は本性を得て穀物が実る。反対に宮殿を飾り立て民を酷使し、妻妾が度を越すと、五穀が実らず風や霧の害が起こる。禹が宮殿を低くしたのを孔子が称えたという話は『論語』泰伯篇に見える。金は西方と秋、殺の気に当たり、軍事と刑罰を象る。ここでは戦いを忘れても好んでも国は危ういという古語を引き、武力は義にかなう時にだけ用いるべきだとする。義に反した侵略や貪欲があれば、金属が鋳型どおりに固まらないという異変が起こるとされる。秋に鷹が獲物を襲い、春に鳩に化すという話は『礼記』月令に基づく季節の観察で、殺すことと生かすことが季節ごとに入れ替わるという考え方を示している。どちらも、五行の働きを人事の節度と結びつけて理解する漢代の思考の典型である。備えを忘れず、しかし力を好まないという戒めは、組織の守りを考えるうえでも古びていない。

この章句が説くこと

五行大義従革稼穡災異節度

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