言志四録 / 言志耋録 第三百十五条 心身は一なり
心身一也。養心在澹泊。養身亦然。養心在寡欲。養身亦然。
書き下し
心身は一なり。心を養ふは澹泊に在り、身を養ふも亦然り。心を養ふは寡欲に在り、身を養ふも亦然り。
現代語訳
心と体は一つのものである。心を養う要は淡泊であることにあり、体を養うのもまた同じである。心を養う要は欲を少なくすることにあり、体を養うのもまた同じである。
解説
心と体は別々ではなく一つだとして、両者を養う要点が同じであると説く一条です。澹泊とは、物事にあっさりとして執着しないこと。寡欲は『孟子』尽心下の「心を養ふは寡欲より善きは莫し」を踏まえています。孟子が心の修養として説いた寡欲を、一斎は体の養生にも当てはめるのです。欲が多ければ心は乱れ、飲食や嗜好も過ぎて体を損なう。心の修養と体の養生が同じ根から出ているという見方は、一一五三条とも呼応しています。心身の不調を別々に対処するのではなく、欲や執着の多さという共通の根を見直してみることを促す条です。
この章句が説くこと
心身澹泊寡欲養生孟子
関連する章句
-
言志四録・言志耋録 第百五十一条 心を養ふは寡欲に善きは莫し心を養ふは寡欲より善きは莫し。君子の自ら養ふ者、宜しく是くの如くなるべし。人を待つに至りては、則ち然らず。人をして各々其の欲を達せしむるのみ。但だ欲にも亦公私有り。弁ずべし。
-
言志四録・言志後録 第二十一条 礼義を以て心を養ふ礼義を以て心を養ふ者は、即ち体躯を養ふの良剤なり。心養ひを得れば、則ち身自ら健やかなり。旨甘を以て口腹を養ふ者は、即ち心を養ふの毒薬なり。心養ひを失へば、則ち身も亦病む。
-
言志四録・言志耋録 第三百十三条 其の志を持し其の気を暴ふなかれ「其の志を持して、其の気を暴ふこと無かれ」と。此の訓は養生に於ても亦益有り。
-
言志四録・言志耋録 第二百九十五条 心志を養ふは養の最心志を養ふは、養の最なり。体躯を養ふは、養の中なり。口腹を養ふは、養の下なり。
-
言志四録・言志晩録 第二百七十七条 労と不労と皆養生心思を労せず、労せざるは是れ養生なり。体軀を労す、労するも亦養生なり。
-
言志四録・言志耋録 第六十一条 欲を無欲に去る善く身を養ふ者は、常に病を無病に治む。善く心を養ふ者は、常に欲を無欲に去る。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る