言志四録 / 言志耋録 第六十一条 欲を無欲に去る
善養身者。常治病於無病。善養心者。常去欲於無欲。
書き下し
善く身を養ふ者は、常に病を無病に治む。善く心を養ふ者は、常に欲を無欲に去る。
現代語訳
体をうまく養う人は、いつも病気にならないうちに病を治めている。心をうまく養う人は、いつも欲が起こらないうちに欲を取り去っている。
解説
養生の心得を心の修養に重ねた一条です。体をよく養う人は、病気になってから治すのではなく、まだ病気でないうちに手を打っている。心をよく養う人も同じで、欲が燃え上がってから抑えるのではなく、まだ欲が起こらないうちに取り去っている、と一斎は言います。東洋医学の「未病を治す」という考えを心に応用したものと言えるでしょう。欲が燃え上がってからでは、それを抑えるのに大きな力が要ります。日頃から心を整えておけば、そもそも強い欲に振り回されずにすむ。問題が起きてから対処するのではなく、起きにくい状態をつくっておくという発想は、組織の運営やリスク管理を考えるうえでも示唆があります。
この章句が説くこと
養生養心未病予防無欲
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