言志四録 / 言志後録 第二十一条 礼義を以て心を養ふ
以禮義養心者。即養體軀之良劑。心得養則身自健。以旨甘養口腹者。即養心之毒藥。心失養則身亦病。
新字:以礼義養心者。即養体躯之良剤。心得養則身自健。以旨甘養口腹者。即養心之毒薬。心失養則身亦病。
書き下し
礼義を以て心を養ふ者は、即ち体躯を養ふの良剤なり。心養ひを得れば、則ち身自ら健やかなり。旨甘を以て口腹を養ふ者は、即ち心を養ふの毒薬なり。心養ひを失へば、則ち身も亦病む。
現代語訳
礼と義によって心を養うことは、そのまま身体を養う良薬である。心が養われれば、身体もおのずと健やかになる。うまいものや甘いもので口や腹を満たすことは、そのまま心を損なう毒薬である。心が養いを失えば、身体もまた病む。
解説
心と体の健康を一続きのものとして捉えた条です。礼義で心を養えばそれが体の良薬となり、美食で口腹を満たせばそれが心の毒となり、心が損なわれればやがて体も病む、と一斎は言います。『孟子』告子上の「其の小体を養ふ者は小人たり、其の大体を養ふ者は大人たり」を思わせる考え方です。一斎は八十八歳まで長寿を保ち、晩年の『言志耋録』でも養生を繰り返し論じていますから、これは観念論というより自身の実感だったのでしょう。忙しさのあまり食事や嗜好品で気分を紛らわせることは誰にでもあります。心の張りを保つことが体調にもつながるのか、自分の暮らしで確かめてみる材料になりそうです。
この章句が説くこと
養生礼義心身一如節制健康
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