言志四録 / 言志晩録 第二百七十七条 労と不労と皆養生
不勞心思。不勞是養生。勞體軀。勞亦養生。
新字:不労心思。不労是養生。労体躯。労亦養生。
書き下し
心思を労せず、労せざるは是れ養生なり。体軀を労す、労するも亦養生なり。
現代語訳
心や思いを疲れさせない。疲れさせないことが養生である。体を働かせる。働かせることもまた養生である。
解説
養生を、心と体で反対の方向から説いた一条です。心はむやみに思い煩わせないのが養生であり、体はほどよく働かせるのが養生だと一斎は言います。心配事を抱えて思い悩めば気が損なわれ、体を使わずにいれば血のめぐりが滞る。休ませるべきものと使うべきものを取り違えないことが肝心だというわけです。直前の晩録二七五条では、静坐して気を養い、動いて体を養い、気と体を助け合わせると述べており、ここもその延長にあります。頭ばかりを使い続け、体はほとんど動かさないという働き方は、一斎の言う養生とはちょうど逆になっていないか。日々の過ごし方を点検するきっかけになる言葉です。
この章句が説くこと
養生心身労と佚健康
関連する章句
-
言志四録・言志耋録 第二百九十四条 思慮を労するは尤も養に非ず遠歩は養に非ず。過食は養に非ず。久坐は養に非ず。思慮を労するは、尤も養に非ず。
-
言志四録・言志耋録 第三百二十二条 清忙は養を成す清忙は養を成し、過閑は養に非ず。
-
言志四録・言志耋録 第九十五条 労逸は相離れず身労すれば則ち心逸し、身逸すれば則ち心労す。労逸は竟に相離異せず。
-
言志四録・言志後録 第二十一条 礼義を以て心を養ふ礼義を以て心を養ふ者は、即ち体躯を養ふの良剤なり。心養ひを得れば、則ち身自ら健やかなり。旨甘を以て口腹を養ふ者は、即ち心を養ふの毒薬なり。心養ひを失へば、則ち身も亦病む。
-
言志四録・南洲手抄凡そ生物は皆養を資る。天生じて地之を養ふ。人は則ち地の気の精英なり。吾れ静坐して以て気を養ひ、動行して以て体を養ひ、気と体と相資つて以て此の生を養はんと欲す。地に従うて天に事ふる所以なり。
-
言志四録・言志耋録 第三百十三条 其の志を持し其の気を暴ふなかれ「其の志を持して、其の気を暴ふこと無かれ」と。此の訓は養生に於ても亦益有り。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る