言志四録 / 言志耋録 第三百十二条 人気を以て養と為す
養老之方。夜燭要明。侍人要多。兒孫嬉戲於側亦不妨。宜以人氣爲養。不必賴藥餌。
新字:養老之方。夜燭要明。侍人要多。児孫嬉戯於側亦不妨。宜以人気為養。不必頼薬餌。
書き下し
養老の方は、夜燭は明らかなるを要し、侍人は多きを要す。児孫の側に嬉戯するも亦妨げず。宜しく人気を以て養と為すべく、必ずしも薬餌に頼らず。
現代語訳
老いを養う方法としては、夜の灯火は明るいのがよく、付き添う人は多いのがよい。子や孫がそばで遊び戯れていても差し支えない。人の気配やにぎわいを養いとすべきであって、必ずしも薬に頼る必要はない。
解説
老いを養うには薬よりも「人気」、つまり人の気配やにぎわいが大切だと説く一条です。夜は灯りを明るくし、そばに人を多く置き、孫たちが騒いでいても構わない。静かに一人で籠もるより、人の生気に触れているほうが老いた心身は元気になるという観察です。一一四六条で心は静かにと言いながら、ここでは人の多さを勧めており、静けさと孤独は別物だとわかります。今日で言えば、高齢者の孤立が心身を弱らせることへの洞察とも重なります。人は人の中で力を得るという点は、働く場のあり方や、孤立しがちな立場の人への目配りにも通じるでしょう。
この章句が説くこと
養老人気孤独家族養生
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