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詩経 / 国風・王風・葛藟

《葛藟》,王族刺平王也。周室道衰,棄其九族焉。 綿綿葛藟,在河之滸。終遠兄弟,謂他人父。謂他人父,亦莫我顧! 綿綿葛藟,在河之涘。終遠兄弟,謂他人母。謂他人母,亦莫我有! 綿綿葛藟,在河之漘。終遠兄弟,謂他人昆。謂他人昆,亦莫我聞!

書き下し

葛藟(かつるい)は、王族平王を刺るなり。周室道衰え、其の九族を棄つるなり。 綿綿(めんめん)たる葛藟、河の滸(ほとり)に在り。終に兄弟に遠ざかり、他人を父と謂う。他人を父と謂うも、亦我を顧みる莫し。 綿綿たる葛藟、河の涘(ほとり)に在り。終に兄弟に遠ざかり、他人を母と謂う。他人を母と謂うも、亦我を有(たも)つ莫し。 綿綿たる葛藟、河の漘(ほとり)に在り。終に兄弟に遠ざかり、他人を昆(あに)と謂う。他人を昆と謂うも、亦我を聞(と)う莫し。

現代語訳

「葛藟」の詩は、周の王族が平王を風刺したものである。周王室の道が衰え、王は九族(一族の者たち)を見捨てたのである。 長く絶え間なく伸びる葛(かずら)のつるは、黄河のほとりに根を張っている。それなのに私は兄弟から遠く離れ、他人を父と呼ぶ身となった。他人を父と呼んでも、私を顧みてはくれない。 長く絶え間なく伸びる葛のつるは、黄河の岸辺に根を張っている。それなのに私は兄弟から遠く離れ、他人を母と呼ぶ身となった。他人を母と呼んでも、私をいたわってはくれない。 長く絶え間なく伸びる葛のつるは、黄河の水際に根を張っている。それなのに私は兄弟から遠く離れ、他人を兄と呼ぶ身となった。他人を兄と呼んでも、私に耳を傾けてはくれない。

解説

河岸に根を張り、長く伸び広がる葛のつるを歌い起こし、身内から離れて他人を父母兄弟と呼ぶ身の寂しさを嘆く詩である。毛詩序は、周王室の道が衰え、平王が一族を顧みなかったので、王族の者がこれを刺ったものとする。葛のつるが根元から離れずに伸び続けるのに、人である自分は一族から切り離されている、という対比である。朱熹は、世が衰えて民が流浪し、身寄りを失って他家に身を寄せた者の歌と読み、王族に限定しない。他人を父と呼び、母と呼び、兄と呼んでも、誰も自分を顧みない、という繰り返しは、呼び名だけの関係の空しさを突いている。故郷や家族から離れて暮らし、形の上の縁しか持てないという孤独は、流浪の民にも、都会に出た現代の人にも通じる感覚だろう。

この章句が説くこと

詩経流浪家族周孤独

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