言志四録 / 言志耋録 第三百十条 侍人には老婦の練熟
養老侍人。宜用老婦鍊熟者。少年女子。多不解事。
新字:養老侍人。宜用老婦錬熟者。少年女子。多不解事。
書き下し
老を養ふの侍人は、宜しく老婦の錬熟なる者を用ふべし。少年の女子は、多く事を解せず。
現代語訳
老人の世話をする付き添いの者には、年配で物事に熟練した女性を用いるのがよい。若い女性は多くの場合、物事がよくわかっていない。
解説
老人の身の回りの世話をする人選について述べた、きわめて実際的な一条です。若い者は気が利かないというより、老人の体の具合や気持ちの動きを察するだけの経験がまだないということでしょう。世話を受ける側の求めを汲み取るには、同じ道をいくらか歩んだ者のほうが適しているという見方です。今日の感覚では言い方に時代の制約を感じますが、一斎が自分の暮らしの細部まで観察して書き留めていることがわかります。人の世話や顧客への対応など、相手の状態を察することが要となる仕事では、経験の厚みがものを言うという点で、人の配置を考える材料になるでしょう。
この章句が説くこと
養老人選熟練経験
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