言志四録 / 言志耋録 第三百七条 衰頽の念頭を破却す
老人好速成。可戒。好苟便。可戒。過憫恤。可戒。此外尙有執拗拘泥畏縮過慮數件。都是衰頽念頭。須能奮然作氣。破却此念。
新字:老人好速成。可戒。好苟便。可戒。過憫恤。可戒。此外尚有執拗拘泥畏縮過慮数件。都是衰頽念頭。須能奮然作気。破却此念。
書き下し
老人は速成を好む、戒むべし。苟便を好む、戒むべし。憫恤に過ぐ、戒むべし。此の外尚ほ執拗・拘泥・畏縮・過慮の数件有り。都て是れ衰頽の念頭なり。須らく能く奮然として気を作し、此の念を破却すべし。
現代語訳
老人は早く仕上げることを好むが、これは戒めるべきである。その場しのぎの手軽さを好むが、戒めるべきである。人を憐れみすぎるが、戒めるべきである。このほかにもなお、執念深さ、こだわり、臆病、取り越し苦労などいくつかある。これらはすべて衰えた心の現れである。奮い立って気力を起こし、こうした思いを打ち破らなければならない。
解説
老人の心の癖を列挙し、それらを「衰頽の念頭」、すなわち衰えから生じる思いだと断じた一条です。速成、苟便(その場しのぎ)、憫恤の過剰に加え、執拗、拘泥、畏縮、過慮まで挙げており、一一四〇条や一一四一条の指摘をさらに広げています。注目すべきは結論で、養生のために静かにせよと説く一方、こうした心の衰えには「奮然として気を作し」打ち破れと言います。体は労わっても、心まで萎ませてはならないということでしょう。経験を積んだ人がいつのまにか臆病や取り越し苦労に傾いていないか、自分の判断の癖を見直す材料になります。
この章句が説くこと
老い気力自戒執着奮起
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