言志四録 / 言志耋録 第三百四条 薬に因りて病を発す
常人之所認以爲養者。其實或用戕生。謂之因藥發病。不可不擇。
新字:常人之所認以為養者。其実或用戕生。謂之因薬発病。不可不択。
書き下し
常人の認めて以て養と為す所の者、其の実或は用て生を戕ふ。之を薬に因りて病を発すと謂ふ。択ばざるべからず。
現代語訳
普通の人が養生になると思い込んでいるものが、実際にはかえって生命を損なっていることがある。これを「薬によって病を起こす」という。よく選ばなければならない。
解説
ここから養生をめぐる条がしばらく続きます。一斎は、世間で体によいとされているものが、実はかえって生を損なうことがあると指摘し、それを「薬に因りて病を発す」と呼びます。滋養のためと称して食べ過ぎたり、強い薬を常用したりすることへの戒めでしょう。江戸後期には貝原益軒の『養生訓』以来、養生論が広く読まれていましたが、一斎は流行の養生法をそのまま信じず、自分の体に合うかどうかを見極めよと言います。よかれと思って続けている習慣や制度が、実は組織を弱らせていないか。善意の施策こそ点検が要るという視点としても読める条です。
この章句が説くこと
養生選択過剰健康
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