言志四録 / 言志耋録 第三百三条 老学尤も老力を励ます
任之重者身也。途之遠者年也。任重任而輸遠途。老學尤宜厲老力。
新字:任之重者身也。途之遠者年也。任重任而輸遠途。老学尤宜厲老力。
書き下し
任の重き者は身なり。途の遠き者は年なり。重任に任じて遠途に輸す。老学は尤も宜しく老力を厲ますべし。
現代語訳
担う荷の重いものは我が身である。道のりの遠いものは年月である。重い荷を背負って遠い道を運んでいくのだ。老いてからの学問は、とりわけ老いた力を奮い立たせるべきである。
解説
『論語』泰伯篇の曾子の言葉「任重くして道遠し」を踏まえた一条です。曾子は仁を己の任とする重さと、死ぬまで続く道の遠さを説きましたが、一斎はこれを老いた自分に引き寄せ、重い荷とは我が身、遠い道とは積み重なった年月だと言い換えます。身を修める責任を負ったまま、長い歳月を歩み続けることが学問だというのです。だから老いてからの学びこそ、衰えた力を奮い起こして続けなければならない。八十歳でなおこの書を書き継いだ一斎自身の姿がそこに重なります。キャリアの後半に学び続ける意味を考える手がかりになる条です。
この章句が説くこと
老学任重道遠学問努力老い
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