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大和俗訓 / 巻之一・為学上

一文學をつとむるも、亦同じ。日々につとめてやまざれば、文學日々にすゝむ。數年の後は、經傳の義理に通じて、樂となる。十年の功は、甚大なり、文學半ば成就す。一萬の事、はじめに苦勞せずして怠れば、後に功ならずして、樂なし。たとへばあつき灸をこらへ、苦き藥をのめば、後に無病の人となるが如し。學問において、尤此しるしあり。わかき時辛勞する人は、老いて後樂多し。

新字:一文学をつとむるも、亦同じ。日々につとめてやまざれば、文学日々にすゝむ。数年の後は、経伝の義理に通じて、楽となる。十年の功は、甚大なり、文学半ば成就す。一万の事、はじめに苦労せずして怠れば、後に功ならずして、楽なし。たとへばあつき灸をこらへ、苦き薬をのめば、後に無病の人となるが如し。学問において、尤此しるしあり。わかき時辛労する人は、老いて後楽多し。

書き下し

一文学をつとむるも、亦同じ。日々につとめてやまざれば、文学日々にすすむ。数年の後は、経伝の義理に通じて、楽となる。十年の功は、甚大なり、文学半ば成就す。一万の事、はじめに苦労せずして怠れば、後に功ならずして、楽なし。たとへばあつき灸をこらへ、苦き薬をのめば、後に無病の人となるが如し。学問において、尤此しるしあり。わかき時辛労する人は、老いて後楽多し。

現代語訳

一、文学に努めるのもまた同じです。日々に努めてやまなければ、文学は日々に進みます。数年の後には経伝の義理に通じて楽しみとなります。十年の功はたいへん大きく、文学は半ば成就します。一、すべてのことは、初めに苦労せずに怠れば、後に成果があがらず楽しみもありません。たとえば熱い灸をこらえ、苦い薬を飲めば、後に病気のない人となるようなものです。学問においては、最もこのしるしがあります。若いときに苦労する人は、老いてから楽しみが多いのです。

解説

学問の積み重ねと、初めの苦労の大切さを説く段です。数年で経書の義理が楽しみになり、十年で半ば成就するという見通しは、長く学び続けた益軒の実感でしょう。熱い灸や苦い薬のたとえは、医学にも通じていた益軒らしい言い回しです。最初の苦しい時期を越えると学ぶことが楽しくなるという経験は、語学やスポーツ、楽器の練習にもよく当てはまります。今の努力が将来の楽しみにつながると思えば、苦労も受け止めやすくなります。

この章句が説くこと

学問努力継続楽しみ若さ

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