言志四録 / 言志耋録 第二百九十八条 書して以て自ら警む
老人勿弱視强壯。勿輕侮幼冲。勿或過慮少斷。錯誤事期。書以自警。
新字:老人勿弱視強壮。勿軽侮幼沖。勿或過慮少断。錯誤事期。書以自警。
書き下し
老人は強壮を弱視する勿れ。幼冲を軽侮する勿れ。或は過慮少断して、事期を錯誤する勿れ。書して以て自ら警む。
現代語訳
老人は、若く壮健な者を見くびってはならない。幼い者を軽んじ侮ってはならない。考えすぎて決断が少なく、物事の時機を取り違えてはならない。これを書きつけて自らの戒めとする。
解説
老人が陥りがちな三つの過ちを挙げ、自らへの戒めとして書き留めた一条です。一つは、壮年の者を未熟と見くびること。二つは、幼い者を軽んじ侮ること。三つは、考えすぎて決断が鈍り、事を行うべき時機を逸すること。いずれも経験を重ねた者ほど陥りやすい落とし穴です。「書して以て自ら警む」の結びに、八十を過ぎてなお自分を律しようとする一斎の姿勢がうかがえます。前後の条と合わせ、老いを嘆くのではなく、その弱点を冷静に見つめて備えようとする態度が一貫しています。経験豊かなベテランや経営者が、若手の意見を軽んじたり、慎重さが決断の遅れになったりしていないか、振り返る材料になるでしょう。
この章句が説くこと
老い自戒決断謙虚時機
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