言志四録 / 言志耋録 第二百九十二条 腸胃に好き者は養物
食物有口好而腸胃不好者。有腸胃好而口不好者。腸胃好者皆養物也。宜知所擇焉。
新字:食物有口好而腸胃不好者。有腸胃好而口不好者。腸胃好者皆養物也。宜知所択焉。
書き下し
食物に、口に好くして腸胃に好からざる者有り、腸胃に好くして口に好からざる者有り。腸胃に好き者は、皆養物なり。宜しく択ぶ所を知るべし。
現代語訳
食べ物には、口にはおいしいが胃腸にはよくないものがあり、胃腸にはよいが口にはおいしくないものがある。胃腸によいものは、みな体を養うものである。どれを選ぶべきかを知っておかねばならない。
解説
食べ物には、口に合うが胃腸に悪いものと、口には合わないが胃腸によいものがある。体を養うのは後者であり、何を選ぶかを知っておけ、と一斎は言います。日常の食養生の心得ですが、「良薬は口に苦し」という言葉を思い出させます。口に甘いものが身に益するとは限らず、身を養うものはしばしば味気ない。これは食べ物に限らない真実でしょう。耳に心地よい意見ばかり集めていないか、手軽な情報ばかり摂っていないか。長い目で見て自分や組織を養ってくれるものを選べているかを、この素朴な一条は問いかけているようにも読めます。晩年の一斎の養生論の、具体的な一面が見える一条です。
この章句が説くこと
養生食養選択良薬節制
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