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言志四録 / 言志耋録 第二百九十条 老衰の爾爾たるのみ

余老境懶惰。行件都蕪。但言語飮食之愼。比諸少壯。庶乎可。又飜思。此即是老衰爾爾。

新字:余老境懶惰。行件都蕪。但言語飲食之慎。比諸少壮。庶乎可。又翻思。此即是老衰爾爾。

書き下し

余老境懶惰にして、行件都て蕪る。但だ言語飲食の慎みは、諸を少壮に比するに、可なるに庶し。又翻りて思ふに、此れ即ち是れ老衰の爾爾たるのみ。

現代語訳

私は老境に入って怠けがちになり、行いはすべて荒れてしまった。ただ言葉と飲食の慎みだけは、若く盛んな頃と比べれば、まずまずよくできている。しかしまた思い返してみると、これはつまり老い衰えてそうなっているだけのことなのだ。

解説

老いて怠けがちになり、行いはすっかり荒れてしまったと一斎は自らを省みます。ただ言葉と飲食の慎みだけは若い頃よりましになった、と少し胸を張りかけて、すぐに思い直します。それは修養の成果ではなく、老いて口数も食も細くなっただけのことだ、と。八十を過ぎた儒者の、自分への甘さを見逃さない誠実さと、どこかおかしみのある自嘲が同居する一条です。美点と思えたものが、実は状況がそうさせているだけではないか。この問いは年齢に限らず当てはまります。好調な成果が自分の力によるのか環境によるのかを見分けようとする姿勢は、自分を正しく評価するうえで役に立つでしょう。

この章句が説くこと

老い自省慎み懶惰自己評価

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