言志四録 / 言志耋録 第二百七十八条 治国は好悪を達するに在り
治國著眼處。在達好惡。
新字:治国著眼処。在達好悪。
書き下し
国を治むるの著眼の処は、好悪を達するに在り。
現代語訳
国を治めるうえで着目すべき点は、民の好むところと嫌うところを、上下に通じさせることにある。
解説
国を治める眼目はただ一つ、「好悪を達する」ことにあると一斎は言い切ります。『大学』に「民の好む所は之を好み、民の悪む所は之を悪む、此を之れ民の父母と謂ふ」とあるように、民が何を望み何を嫌っているかを為政者が知り、それを政治に通わせること、さらに為政者の好悪、すなわち何を善しとし何を退けるかを民に明らかに伝えることの両方を含むのでしょう。前の条で新任の長官に好悪を早く示せと説いたのと響き合います。上と下の好悪が行き違ったままでは、どれほど制度を整えても人は動きません。組織の中で、現場の声と経営の意思が互いに届いているかを確かめることが、治める仕事の出発点になるのかもしれません。
この章句が説くこと
好悪為政民意意思疎通治国
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