言志四録 / 言志録 第百八十条 大体の是非、久遠の利害
見一物之是非而不問大體之是非。抅一時之利害而不察久遠之利害。爲政如此國危矣。
新字:見一物之是非而不問大体之是非。抅一時之利害而不察久遠之利害。為政如此国危矣。
書き下し
一物の是非を見て大体の是非を問はず、一時の利害に拘りて久遠の利害を察せず。政を為すこと此くの如くんば国危ふし。
現代語訳
一つの事柄の是非だけを見て全体の是非を問わず、一時の利害にこだわって長い目で見た利害を察しない。このように政治を行えば、国は危うい。
解説
政治判断の視野の狭さを戒めた一条です。一つの事柄の良し悪しにとらわれて全体を見失うこと、目先の損得にこだわって長期的な損得を見落とすこと。一斎は、この二つの過ちが重なれば国が危うくなると言います。空間の広がりと時間の長さ、二つの軸で物事を見よ、ということです。前の条で、時世習俗を知ってから政を施せと説いたのと合わせて、為政者の見識のあり方を示しています。部分最適と短期的利益への偏りは、現代の組織経営でも繰り返し指摘される問題です。目の前の判断が、全体にとって、そして数年先にとってどういう意味を持つのかを問う手がかりになります。
この章句が説くこと
為政大局観長期的視点判断利害
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