言志四録 / 言志耋録 第二百七十二条 平意公心を以て待つ
訟訴。既就其言色。以視聽其心。則我當先以平意公心。待之。急心不可。倦心不可。愛憎心尤不可。
新字:訟訴。既就其言色。以視聴其心。則我当先以平意公心。待之。急心不可。倦心不可。愛憎心尤不可。
書き下し
訟訴は、既に其の言色に就きて、以て其の心を視聴すれば、則ち我当に先づ平意公心を以て之を待つべし。急心は不可なり。倦心は不可なり。愛憎の心は尤も不可なり。
現代語訳
訴訟においては、当事者の言葉と顔色によってその心を見聞きするのであるから、こちらはまず平静な気持ちと公正な心でこれに臨まねばならない。焦る心はいけない。飽きて投げやりになる心はいけない。好き嫌いの心は最もいけない。
解説
訴えを聴く者は、相手の言葉と顔色からその心を読み取るのですから、読み取る側の心が乱れていては話になりません。そこで一斎は、まず自分を「平意公心」、平らかで公正な状態に置けと言い、とくに三つの心を退けます。急いで結論を出そうとする急心、長い話に飽きて投げやりになる倦心、そして何より、当事者への好き嫌いである愛憎の心です。前の条で相手の見方を説いた一斎が、ここでは見る側の心構えに目を向けています。人の話を聴いて判断する立場にある人は、忙しさや疲れ、先入観がどれほど判断をゆがめるかを知っておく必要があるでしょう。聴く前に自分の状態を整えるという発想です。
この章句が説くこと
平意公心聴訟愛憎公正心構え
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