言志四録 / 言志耋録 第二百六十四条 公私の弁
在官署。戒言及家事。在家則勿一洩官事。公私之辨。仕者之大戒也。
新字:在官署。戒言及家事。在家則勿一洩官事。公私之弁。仕者之大戒也。
書き下し
官署に在りては、言の家事に及ぶを戒め、家に在りては、則ち一も官事を洩らす勿れ。公私の弁は、仕ふる者の大戒なり。
現代語訳
役所にいるときは、話が家のことに及ぶのを慎み、家にいるときは、役所のことを一つとして漏らしてはならない。公と私のけじめは、仕える者にとっての大切な戒めである。
解説
役所では家庭の話を持ち込まず、家では職務のことを一言も漏らさない。一斎はこの公私のけじめを、仕える者の「大戒」と呼びます。家の事情を職場に持ち込めば公務に私情が混じり、職務のことを家で語れば機密が漏れ、家族を巻き込むことにもなります。幕府に仕え、大名家の相談にもあずかった一斎にとって、口の慎みは職業上の生命線だったのでしょう。現代では情報管理やコンプライアンスの問題として語られますが、根にあるのは、自分がいまどの立場で話しているのかを自覚する心がけです。在宅勤務で公私の境目があいまいになりがちな今、改めて考えてみたい一条です。
この章句が説くこと
公私の別守秘仕官口の慎みけじめ
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