導師導古典を学びたいすべての人に

言志四録 / 言志耋録 第二百四十八条 奇巧と雅素

凡物有奇巧可賞者。有雅素可賞者。奇巧而可賞。一時之賞也。雅素而可賞。則無限之賞也。眞可謂之珍品矣。蘭人齎來物件。率皆奇巧。吾知其無雅致。但其精巧。則可懼之一端。

新字:凡物有奇巧可賞者。有雅素可賞者。奇巧而可賞。一時之賞也。雅素而可賞。則無限之賞也。真可謂之珍品矣。蘭人齎来物件。率皆奇巧。吾知其無雅致。但其精巧。則可懼之一端。

書き下し

凡そ物には奇巧にして賞すべき者有り、雅素にして賞すべき者有り。奇巧にして賞すべきは、一時の賞なり。雅素にして賞すべきは、則ち無限の賞なり。真に之を珍品と謂ふべし。蘭人の齎し来る物件は、率ね皆奇巧なり。吾其の雅致無きを知る。但だ其の精巧は、則ち懼るべきの一端なり。

現代語訳

およそ物には、珍しく巧みであるために賞美されるものと、上品で素朴であるために賞美されるものとがある。珍しく巧みなために賞美されるのは、一時の賞美にすぎない。上品で素朴なために賞美されるものは、限りなく賞美される。これこそ本当に珍品と言うべきである。オランダ人がもたらす品物は、おおむねみな珍しく巧みなものである。私はそこに雅致がないことを知っている。ただその精巧さは、恐るべき点の一つである。

解説

ものの価値を、奇巧と雅素の二つで見分けた一条です。珍しさや巧みさで人を驚かせるものは一時もてはやされるだけで、品よく飾り気のないものこそ、いつまでも愛される真の珍品だと一斎は言います。オランダ人のもたらす品は奇巧ではあっても雅致がないと評しながら、その精巧さは恐るべきだと付け加えている点が見逃せません。趣味の上では退けつつ、技術力の高さは冷静に認め、警戒しているのです。前条で大砲や蒸気船を論じたのと同じ目線です。目新しさで売れる商品と、長く選ばれ続ける商品の違いをどう見るか、また好みとは別に相手の力を正しく評価できているかを考えさせます。

この章句が説くこと

審美雅素技術西洋価値

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る